これから開業する方はトリミングサロンのコンセプト作りや差別化を考えている方もいるのではないでしょうか。
トリミングサロンのコンセプト作りは競合店舗との差別化に繋がる根本的な部分といえるでしょう。
ただ、私が今まで多くのトリミングサロンオーナーとお話をしている中で、コンセプト作りがスペック重視のコンセプトになっていることが少なくないと感じています。
例えば、オーナーこだわりのシャンプー剤を押していきたいとか、炭酸泉やオゾン水を導入しているから、それらを全面に出していきたいとかいったことは少なくありません。
もちろん、シャンプーの知識が豊富でこだわりがあったら、その美容室を選ぶかもしれませんが、やはり世の中の多くの人はシャンプーの知識はそれほど多くありません。
仮にあなた自身が美容室を選ぶときに、オーナーこだわりのシャンプー剤をしようしているという売り文句の美容室を選んだりしますか?
シャンプー剤をこだわることは悪いことではありませんし、そういった細かなこだわりの積み重ねこそがお店のブランド力になります。
ただシャンプーがメインのコンセプトで、それらを差別化として捉えているオーナーは少なくないのです。
美容室を選ぶ際は、失敗をしたくないから技術力は確か?理想の自分になれる?お店の雰囲気は?どんな人がカットする?価格はどんな感じ?といった感じで美容室を選ぶことが多いのではないでしょうか。
上のお店を選ぶ基準としては、シャンプー剤が入る人は少ないでしょうし、上に書いた項目はわりとどんな人でも当てはまる美容室選びの基準になるかと思います。
意外と抽象的なものが多かったりしませんか?
技術力というのも理想的な自分になれるのかどうかですし、理想的な自分になるために本質的には技術力以上に相手の伝えたいことを読み取る力ともいえます。
コンセプトというのはスペックではなく抽象度が高い概念みたいなものだと思っています。
概念というと少し小難しくなる感じですが、例えば、犬への優しさが本当に徹底的に優しければそれはお店のコンセプトになりえますし、世の中には愛犬にとにかく優しくトリミングをしてほしいという飼い主様も存在するので、差別化に繋がるかと思います。
他にもコンビニよりも件数が多いと言われている美容室では他店と明らかな差別化を図ることは難しいとされていました。
しかし、最近では通常の美容室の単価よりも高い髪質改善をメインにした美容室がチェーン展開に大成功した事例があります。
通常の美容室としてではなく、髪質改善を中心とした美容室であれば、髪質改善の専門店となり、やはり顧客目線では髪質を改善できるのだれば多少高くても専門店に通うかと思います。
これはお客様のベネフィット(利益)から逆算をして事業を上手に作った事例です。
このように明らかなベネフィットがある場合もコンセプト作りと言えますし、犬への優しさという抽象度の高いものも他店はなかなか真似できないコンセプトだと言えます。
コンセプト作りは競合と同じであれば差別化にはならずに埋もれてしまいますし、シャンプー剤のように明日にでもマネしようと思って真似できるものは差別化にはなりにくいです。
競合が中々マネできなかったり、知識や技術を積み重ねていけるコンセプトや差別化こそが本質的には重要なサービスになるかと思います。
犬への徹底的な優しさはマネをしようと思っても、上辺だけを取り繕っては飼い主様に見抜かれてしまいますし、暴れたり噛んだりする子を積極的にやろうと思っても高度な技術や精神力が必要なので、積極的にできるトリミングサロンは少ないかと思います。
逆にいえば、簡単に真似できないことが差別化に繋がりやすいとも言えます。
もちろんですがカット技術が高かったり、フォトブースにこだわるなども立派な差別化になります。
ただ、カット技術というのは一朝一夕で上げることはできませんし、フォトブースへのこだわりのお店のキャパの問題や機材投資などで踏み切れないトリミングサロンも少なくはありません。
当店ではフォトブースにはかなり力を入れていて、世界観がある雰囲気のフォトブースを作っています。
仕入れでまる1日ではなく、数日かけることもザラですし、小物を購入する費用も軽く数万円は超えていきます。
ただ、世界観を出すためには徹底的にやることで、差別化に繋がると考えています。
実際、お店の完成内覧会にご来店いただいたお客様には
「プロに依頼をされてフォトブースは作っているんですか?」
と質問をされたり
フォトブースでの写真撮影しているときは
「わんちゃんを撮影するプロのカメラマンさんですか?」
とお声をかけられたこともありました。
ある意味では数多くのわんちゃんを撮影してきたので、撮影するコツなども理解していますし、フォトブースも徹底的に拘っているのでプロと言えばプロと言えるかもしれません。
やるからには徹底的に、そして楽しみながらフォトブースを作っているので、当店の強みにしていきたいと思っています。
個人的にはやろうと思えば誰でもフォトブースに力を入れることができますし、各店舗の特色が分かりやすく飼い主様にお伝えできるのでフォトブースの強化はおすすめです。
以下の記事では当店で使用ているカメラとレンズを紹介しているので、よかったら参考にしてみてください。
当店が使用しているカメラと設定を紹介
また、コンセプトや差別化となるサービスを決めたとしたら、ホームページやインスタなどでしっかりとそれらの情報を発信することを忘れずにしましょう。
素晴らしいコンセプトやサービスを提供しているトリミングサロンの中には、それらの情報を発信していないことで飼い主様に伝わっていないということがあります。
せっかく素晴らしいコンセプトやサービスを提供をしているのであれば、しっかりとその情報を届けるまでがお店側の役割です。
お客様目線からコンセプトを考えることも一つの方法ですし、あなた自身が理想のお店像を具現化するためにコンセプトを作るのも一つの方法です。
どちらにせよ、スペック重視のトリミングサロンにならないように気をつけたいところです
もちろん、最初に設定したコンセプトや差別化が未来永劫の使えるということは少ないです。
競合する店舗が増えたり、より良いサービスを提供するトリミングサロンが増えれば、相対的に見るとお客様があなたのお店に感じる価値というのは下がってしまいます。
そうならないためにも、日々少しずつでもいいからブラッシュアップをしていく必要があります。
商売は周りが少しずつ進んでいるのに、現状に満足をしてしまったら後退をしてしまっているのと一緒です。
そうならないためにも、日々わんこやお客様の喜びを追求できるトリミングサロンを目指していくことが大切です。
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