カット頭数が多くこなせたとしても、可愛くなければお客さんはついてこないかもしれませんし、可愛くカットはできるものの、カットの頭数が少なければ生活できるほどの売上を作ることが難しくなります。
トリミングサロンの開業にあたっては、2つの技術力があるかと思います。
1つは1日のカットができる頭数をこなすスピードの面の技術力。
もう1つは、可愛さやキレイさの技術力。
このふたつの技術力から、どの程度の技術力が必要なのかを解説していきます。
1日3頭はできる技術力は必要
結論から言うと、トリマーとして独立開業を目指すのであれば、トイプードルを2時間〜2時間半で1頭ですべて自分で仕上げられる技術力は必要です。
これ以上の時間をかけてしまうと、1日に3頭のカットができないため、売上を作りにくくなってしまい、普通に生活できる給料を稼ぐことが難しくなります。
単価8,000円で3頭カットができると30万円前後の利益
例えば、トイプードル単価8,000円で2時間半かけてカットをするトリミングサロンで8時間働くとすれば、1日に3頭(7時間半かかる)かかるのしかカットしかできません。
月商(月の売上)は1日にできる頭数と単価で決まります。
トイプードルを3頭カットして、単価8,000円なら1日の売り上げは24,000円。
22日×2.4万=52.8万円の月商です。
単価8,000円だと東京で安い価格帯のトリミングサロンや、地方都市の高めの価格帯のトリミングサロンになるかと思います。
1人でトリミングをするヒトリマーとして開業をしたとしても、月に家賃が10万円前後かかり、シャンプーや水道光熱費などの諸経費で3〜5万ほどはかかると想定します。
52.8万(売上)ー15万(諸経費)=37.8万円の利益となります。
借入をしていれば、この利益から毎月返済をしていく必要があるので、手元に残る利益としては30万円前後です。
このことから、3頭のトリミングカットができたとしても、利益は30万円前後なので、3頭を8,000円の単価でできて普通の生活ができるくらいの利益になります。
単価8,000円で2頭しかカットができないと20万前後の利益
トイプードルのカットが3時間以上かかってしまい、1日に2頭しかできない場合を計算してみましょう。
単価8,000円×2頭=16,000円(1日の売上)
16,000円×22日=35.2万の月商
35.2万-13万(諸経費)=22.2万の利益
ここから借入をしていれば、その金額の返済も必要になるので、20万以下で生活費を賄わなければいけません。
借入をしていなければ、22.2万の利益なら生活をすることもできるかもしれませんが、1日2頭の頭数しかできないのであれば単価は1万円以上は最低でも必要です。
そのため、1日に3頭のトリミングをこなすことは、トリミングサロン開業の技術力としては必須です。
1日2頭でも単価を上げれば商売として成り立つ
1日2頭しかできなくても単価が1.5万〜2万ほどあれば商売として成り立ちます。
単価1.5万円×2頭=3万(1日の売上)
30,000円×22日=66万の月商
66万-13万(諸経費)=53万の利益
頭数が少なくても単価を上げることさえできれば、3頭のトリミングを行うよりも売上を効率よく作ることができます。
しかし、高単価なトリミングサロンでは付加価値の作り方が最重要となるので、初めて経営をされる方にとっては失敗する確率が非常に高くなるので、1つの考え方として頭の片隅に入れておく程度にしておきましょう。
可愛さなどの技術力はどの程度必要か?
当たり前ですが、万人が可愛いと思えるカットができるに越したことはありません。
しかし、可愛さやキレイさなどの抽象的な技術力に関しては、人によってという答えになってしまいます。
そもそも、カットはお客さんが可愛いと思えばそれでOKなので、トリマーが可愛くないと思うカットでも、飼い主さんの求めるカットができれば、それでも商売を成り立たせることはできます。
他にも、生活しやすく短くカットをされる飼い主さんのニーズもあったりと、可愛く切るだけがトリマーに求められているものではないと言うことです。
そのため、あなた自身がどんな飼い主さんにお店に来てもらいたいか?という考えが大切になります。
カットは下手でも開業はできる
トリマー塾に通われて半年間の実務経験をされた後、すぐ開業された方を知っていますが、その方はカットに自信がなかったのですが、犬に優しいというコンセプトを全面的に打ち出すことで集客に成功をしていました。
カットは可愛くないとダメというわけではなく、さまざまな考え方の飼い主さんにピンポイントで刺さるコンセプトであれば、経営的には成り立つということを証明しています。
全ての飼い主さんを受け入れるコンセプトは逆に中途半端になる
ふわふわの可愛いカットが好きな飼い主さんであれば、カット技術にこだわりのあるトリミングサロンにいくでしょうし、反対に生活しやすく短いカットが好きな飼い主さんであれば、単価が安いトリミングサロンに行くでしょう。
2つの飼い主さんは同じ飼い主さんでも、考え方は全然違うので、お店の特徴に合わせて、あなた自身がどんな飼い主さんに来店をしてもらいたいか?と言う考えで求めるカット技術も変わってきます。
全ての飼い主さんに求められるトリミングサロンを作りたいと思う方も多いですが、全ての飼い主さんに受けいられれるようなコンセプトは中途半端なコンセプトになりがちです。
どちらか明確にコンセプトを打ち出した方が、結果としてはそのコンセプトにハマる飼い主さんの心をがっちりと掴むことができるので、どちらの飼い主さんがターゲットかを明確にすることがオススメです。
まとめ
あなた自身がどんなお店にしたいのか?ということで、必要な技術力というのは変わってきます。
あなた自身がどんな飼い主さんにきてもらいたいのか?どんなカットをしたいのか?どの程度売上を作りたいのか?などあなた自身の考えをまとめてみることで、自然とあなたにとって理想のお店像が浮かんでくるかと思います。
改めて、あなたはどんなお店を作りたいのかを、考えるきっかけになれば幸いです。
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