【実体験】トリマー1人で月商120万円達成|トリミングサロンの単価・売上・雇用のリアル

東京・世田谷区でDOG SALON FREESIAを経営している私が、プードルカット単価1.4万円のお店でトリマー1人月商120万円を達成した経緯と、そこから学んだ「単価」「売上」「雇用」のリアルな話をまとめました。

トリミングサロンの売上を伸ばしたいオーナートリマーや、これから独立開業を考えているトリマーにとって、実際の数字をベースにした経営判断のヒントになるはずです。

1,000件以上の独立開業相談を受けてきた中でも、「売上をどうやって上げればいいか」「単価はいくらに設定すればいいか」という悩みは非常に多いです。

この記事では、実体験をもとに「なぜ120万円を達成できたのか」「何が正解で何が失敗だったのか」を正直に書いていきます。

目次

トリマー1人で月商120万円の内訳

プードルカット単価1.4万円のお店を始めて1年ちょっとで、トリマー1人で月の売上が120万円を達成しました。

正確にはたまに私が補助をしていたり、大型犬のシャンプーは二人体制でやっているので1.2人分くらいで、初回割引がなければ120万円といった感じではあります。

通常、1日3頭のトリミングサロンだと1ヶ月の売上は50万円〜60万円ほどです。

1日4頭のトリミングサロンでも70万〜80万くらいなので、トリマー1人で月商100万円を超えるのは結構ハードルが高かったりします。

当店ではカットは1日3頭しかやっていないにもかかわらず、1ヶ月間で120万円の売上を立てることができました。

その理由は、単純にプードルカットの単価が1.4万円ということが大きいかと思います。

トリマーが独立開業をしたら年収がどのくらいになるのかは、売上の計算式から逆算できます。詳しくは以下の記事で解説しています。 → トリマーの年収はいくら?雇われと独立開業の収入をトリミングサロン経営者が解説

月商120万円を可能にした「単価」の力

都内のトリミングサロンのカット相場は9,000円〜12,000円ほどの中、当店は少し単価を高めに設定しています。

この差がどのくらい売上に影響するのか、具体的に計算してみます。

単価9,000円の場合

1日3頭のカットで22日稼働だとしたら月商は約60万円です。

稼働日を増やすことはなかなか難しいですし、1日3頭のところを4頭にするというのもハードルが高いことが多いかと思います。

単価14,000円(当店)の場合

1日3頭のカットで22日稼働なら月商は約92万円です。

同じ頭数、同じ稼働日数でも、単価の差だけで月に30万円以上の差が出ます。

単価別の月商比較

単価1日の頭数稼働日数月商
7,000円3頭22日約46万円
9,000円3頭22日約60万円
11,000円3頭22日約73万円
14,000円3頭22日約92万円

この表を見ていただくとわかるように、頭数も稼働日数も同じなのに、単価7,000円と14,000円では月商が倍も違います。

年間にすると約550万円の差になるので、単価設定がいかに重要かがわかるかと思います。

そうなると、売上を上げる最もシンプルな方法は「単価」ということになります。

シンプルに単価を上げればトリミングサロンの売上は高くなります。

もちろん、単価を上げたとしても提供するサービスがその単価に見合っていなければお客様は違う店舗に移られてしまうので、単価とサービスのバランスはとても重要です。

「値決めは経営」という名言があるように、トリミングサロンにとっても値決めは経営の基盤であるくらいに重要なものだと実感しています。

地方と都心では単価や家賃が異なるため、売上の構造もまったく変わってきます。地方で開業を考えている方は以下の記事も参考にしてみてください。 → 地方と都心のトリミングサロンの売上の違いについて解説

なぜ高単価でもお客様が来るのか

都内相場の9,000円に対して当店は1.4万円なので、約55%も高い設定です。

普通に考えれば、近くにもっと安いトリミングサロンがあるのだからそちらに行くはずです。

その理由は、カット技術だけではありません。

まず、インスタグラムでの写真撮影にかなりこだわっています。

フルサイズのミラーレス一眼で撮影をして、背景やライティングにもこだわっているので、お家ではなかなか撮れないような可愛い写真をお渡しできます。

トリミングのサービスはカットをするだけではなく、写真を撮影するまでがサービスの一つだと思っています。

お客様にとっては「愛犬を可愛くしてもらえる+可愛い写真がもらえる」という二重の価値があるので、単価が多少高くても選んでいただけるわけです。

次に、LINE公式アカウントを使ったお客様とのコミュニケーションです。

予約の確認だけでなく、トリミング後のケアのアドバイスや、次回のカットスタイルの提案をLINEで行うことで、お客様との信頼関係が深まります。

そして、お店のコンセプトを明確にしたことも大きいです。

「うちのお店は何を大切にしていて、どんなお客様に来てほしいのか」を明確にすることで、その価値観に共感してくれるお客様が集まります。

コンセプト作りと差別化についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 → トリミングサロンのコンセプト作りと差別化について

LINE公式アカウントの活用方法はこちらです。 → トリミングサロンがLINE公式アカウントを導入するメリット

月商120万円の裏側|実は喜べない理由

ただ、1人で月商120万円を達成したからといって、特に喜ばしいことでもなかったりします。

理由としては、1日3頭のカットで単価が1.4万円、週2日休みで22日稼働だと1ヶ月で92.4万円ほどにしかなりません。

120万円を超える売上が作れていたのは、休みが週1だったからです。

つまり、休日を削って無理やり達成した数字であって、健全な経営とは言えない状態でした。

もちろん、予約がいっぱいな状態が続いているということは大変喜ばしいことですが、やはり身体的な負担が大きすぎました。

週1日の休みだと、身体の疲労が抜けないまま翌週に突入することになります。

トリマーは立ち仕事ですし、大型犬のシャンプーなどは体力的にもかなりキツいです。

疲れた状態でカットをすると集中力が落ちて、仕上がりにも影響が出かねません。

結果的にサービスの質が下がってしまえば、お客様の満足度も下がり、リピート率にも影響してしまいます。

今振り返ると、もう少し早めにトリマー2名体制にしておけばよかったと後悔しています。

この経験から言えるのは、月商の数字だけを追いかけるのではなく、オーナー自身の健康や生活の質も含めて経営を考える必要があるということです。

これから開業する方には、売上目標と同時に「週2日は休む」「1日の頭数上限を決める」といった自分ルールを最初から設けておくことを強くおすすめします。

人件費はトリミングサロン最大の固定費

なぜ雇用のタイミングが遅くなったのかというと、トリミングサロンの固定費で家賃以上に高いのが人件費だからです。

都心でわりといい場所にあるトリミングサロンの家賃は安くても20万円以上します。

しかし、この時代に都内でトリマーさんを募集すると25万円ほどの給料設定ではないと応募が集まりにくく、社会保険や交通費、賞与などを含めると30万円ちょっとの支出が増えます。

そう考えると、人件費というのはトリミングサロンにおいて一番高い固定費だと言えます。

トリマーさんが増えないことには売上を増やすことができないので、トリマーさんを1人増やすか増やさないかのときが一番固定費が重い状態になります。

雇用前と雇用後の利益シミュレーション

ここで、トリマーを1人雇用した場合の利益がどう変わるのかを簡単にシミュレーションしてみます。

雇用前(オーナー1人体制)の場合は、月商が約92万円(単価14,000円 × 3頭 × 22日)で、家賃や光熱費などの固定費が約25万円だとすると、利益は約67万円です。

雇用後(オーナー+トリマー1人の2名体制)の場合は、月商が約184万円(単価14,000円 × 6頭 × 22日)で、固定費が約25万円、人件費が約30万円だとすると、利益は約129万円です。

もちろんこれは予約が常にいっぱいの理想的な数字ですが、雇用をすることでオーナーの利益は約2倍になるという計算です。

しかも、オーナー自身は週2日しっかり休むことができます。

雇用のコストは確かに大きいですが、お客様がいっぱいの状態であれば、雇用は「コスト」ではなく「投資」だと考えるべきです。

140件以上のトリミングサロンのホームページを作成する中で多くのオーナーと話をしてきましたが、この「雇用のタイミング」で悩んでいるオーナーは本当に多いです。

トリマーの将来性や雇用の課題については以下の記事でも詳しく書いています。 → 辞めたい人が多い?トリマーという職業に将来性はない?

求人募集を始めるベストなタイミング

肌感覚としては、2週間先くらいまで予約が埋まってきた状態なら、求人募集をかけ始めていい頃合いだと思います。

そのくらいの予約待ちができているトリミングサロンは、サービスの質と料金に対する満足度が高いトリミングサロンだと言えるので、今後もお客様が増えていく可能性が高いです。

当店の場合、カットの予約待ちが1ヶ月になった頃に求人募集を開始しました。

しかし今思えば、タイミングはかなり遅かったです。

予約が取れにくいと新規のお客様も増えにくいという状態になってしまい、思うように歯車がかみ合っていない期間ができてしまいました。

具体的に言うと、予約が1ヶ月待ちの状態が続くと、新規のお客様は「そんなに待てない」と他のトリミングサロンに流れてしまいます。

せっかくホームページやインスタグラムを見て興味を持ってくれたのに、予約が取れないという理由だけでお客様を逃してしまうのは非常にもったいないです。

さらに、既存のお客様も予約が取りにくい状態が続くと、少しずつ他のトリミングサロンに移ってしまう可能性もあります。

これは1,000件以上の独立開業相談の中でも繰り返しお伝えしていることですが、予約待ちが2週間を超えたら早めに動くのがおすすめです。

求人の出し方や、どのサービスを使えばいいかは以下の記事でまとめています。 → トリマー求人募集はどのサービスを利用すればいいのか?

単価を上げる前にやるべきこと

単価は大事とはいえ、トリミングサロンにとって売上を上げるには正しい優先順位があります。

まずは1日の頭数がいっぱいな状態を作ること。

その上で大切になるのが単価です。

たとえば、1日平均で2頭しかカットが入っていなければ、値上げをするよりもお客様を増やすほうが売上への影響度合いが大きくなります。

予約が常に埋まっていないトリミングサロンで値上げをしてしまうと、お客様が離れてしまうなどのリスクが大きいかと思います。

お客様がいっぱいの状態が作れていないということは、サービス面でなにかしらの問題があることが多いです。

売上アップの正しい順番

1つ目は、まず予約がいっぱいになるようにサービス力を強化すること。

カット技術はもちろんですが、接客や店内の清潔感、写真撮影の質、お客様への気遣いなど、トータルの顧客満足度を高めることが最優先です。

2つ目は、オプションなどで客単価を上げるように工夫すること。

たとえば、歯磨きや肛門腺絞り、マイクロバブルバスなどのオプションメニューを用意して、お客様のニーズに合わせて提案していくことで、自然と客単価は上がっていきます。

3つ目は、来店頻度を上げる工夫をすること。

2ヶ月に1回のカットが多いお客様に、1ヶ月に1回来てもらえるようにするだけで、お客様の数を増やさなくても売上は大きく変わります。

当店では間にクイックシャンプーを挟んでもらうことで、来店頻度を上げる工夫をしています。

カットほど時間がかからないシャンプーメニューであれば、お客様にとっても負担が少なく、お店としても売上を積み上げることができます。

この順番を間違えると、売上が伸びないだけでなくお客様が離れてしまうこともあります。

当店が2ヶ月待ちの繁盛店になれた経緯と、具体的にやった施策については以下の記事にまとめています。 → トリミングサロンの繁盛店を作る方法

また、お客様が自然と来たくなるお店の仕組みづくりについてはこちらの記事が参考になるはずです。 → お客様から来たくなるトリミングサロンの仕組みづくり

高単価での開業という選択肢

話を戻すと、トリマー1人で月商120万円という数字は全然目指していたわけではありませんが、無理をしながら達成した数字です。

ただ、これから開業をする方がサービスの質を高めていくという覚悟のもと、競合の相場よりも高めに設定するということは、自分へのプレッシャーにもなり、さらに高いサービスを提供できるように努力する動機付けになります。

高単価での開業は一つの選択肢に入れておいてもいいかもしれません。

もちろん、通常の価格帯よりも高価格帯のほうが集客の難易度はグンと上がります。

とくに競合より10%高い程度であればそれほど変わりませんが、20%以上高くなると少しずつ難易度が高くなってきます。

高単価で集客するためには、ホームページの作り込みが非常に重要です。

お客様は料金が高いお店を選ぶときほど慎重にホームページを見ますし、お店の雰囲気やコンセプト、口コミなどをしっかりチェックしてから来店されます。

ホームページがなかったり、古いまま放置されているトリミングサロンは、高単価のお客様を取りこぼしている可能性が高いです。

高単価で開業を考えている方は、集客の基盤となるホームページをしっかり作り込んでおくことをおすすめします。

開業で失敗しないために知っておくべきこと

高単価で開業をするにしても、低コストで開業をするにしても、過去の失敗事例を知っておくことは非常に重要です。

私は140件以上のトリミングサロンのホームページ作成を通じて多くのオーナーと話をしてきましたが、失敗するパターンにはある程度共通点があります。

たとえば、10年以上前に開業してから何も変えずに経営を続けているケースや、ホームページがなかったり古いまま放置されているケース。

時代の変化に合わせてお店を変化させていかないと、若いオーナーの新規開業のトリミングサロンにどんどんお客様を取られてしまいます。

また、スタッフが独立をしてお店の近くで開業し、お客様を引き抜いてしまうというケースも少なくありません。

過去の失敗事例から学びたい方はこちらの記事を読んでみてください。 → トリミングサロンの開業失敗事例

開業資金の目安やリアルな費用感については以下の記事で実体験をもとに解説しています。 → 独立開業平均資金は300〜800万円

まとめ|売上の数字よりも「持続できる経営」が大事

トリマー1人で月商120万円を達成できたのは事実ですが、それは週1日しか休まないという無理をした結果でした。

この経験から学んだのは、売上の最大化よりも「持続できる経営」のほうがよっぽど大事だということです。

トリミングサロンの売上を上げるためのポイントを整理するとこうなります。

売上の基本公式は「営業日数 × 1日の頭数 × 単価」です。

この3つのうち、営業日数と頭数には物理的な上限がありますが、単価にはある程度自由度があります。

ただし、単価を上げるためには、それに見合ったサービスの質が必要です。

頭数がいっぱいの状態を先に作ってから、単価を上げるのが正しい順番。

そして、予約待ちが2週間を超えたら早めに求人を出すこと。

人件費は最大の固定費ですが、雇用を恐れて一人で頑張りすぎるとオーナーが潰れてしまいます。

オーナーが倒れたら、お客様にも迷惑がかかりますし、お店自体が立ち行かなくなってしまいます。

「いくら売上を上げるか」ではなく「どうやって健全に利益を残すか」を考えることが、長く続くトリミングサロン経営の第一歩です。

開業前に自分のトリミングサロンにいくら必要なのか、開業資金の計算をまだしていない方は、まずはそこから始めてみてください。

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