トリミングサロンの利益率と原価率|地方と都心で手元に残るお金はどう違う?

地方と都心のトリミングサロンの売上の違いについて解説

トリミングサロンの独立開業を考えるとき、多くの方が最初に気にするのは「売上はいくらになるか」だと思います。

ただ、本当に大事なのは売上ではなく、手元にいくら残るかです。 売上が高くても、家賃や経費に消えてしまえば手取りは増えません。逆に売上がそこまで大きくなくても、利益率が高ければ生活はしっかり成り立ちます。

私自身、和歌山県と東京世田谷区のDOG SALON FREESIAで2店舗のトリミングサロンを経営してきました。 家賃4万円の地方のテナントと、家賃20万円超の都心のテナント、両方を経験しているので、立地によって利益の残り方がどれだけ違うかを身をもって実感しています。

経営の傍ら、Instagramではトリマーさん向けに独立開業や経営のリアルを発信していて、現在5,500人以上のトリマーさんにフォローしていただいています。

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これまでに1,000件以上の独立開業相談を受けてきましたが、利益率や原価率について具体的な数字で考えたことがないまま開業準備を進めている方が本当に多いです。

この記事では、地方と都心でそれぞれシミュレーションを出しながら、トリミングサロンの利益率・原価率・1ヶ月の経費の内訳を解説していきます。 読み終わるころには、「自分が開業したらいくら手元に残るのか」がイメージできるようになっているはずです。

目次

トリミングサロンは利益率が高い業種

トリミングサロンの独立開業を考えるとき、「売上がいくらになるか」は気になるところです。

でも、本当に大事なのは売上ではなく、手元にいくら残るかです。

トリミングサロンはサービス業なので、原価がほとんどかかりません。 シャンプーやフォトブースなどの消耗品は使いますが、飲食店のように食材を仕入れたり、小売業のように在庫を抱えたりする必要がないです。

そのため、売上に対する原価率はかなり低く、一般的に10%前後と言われています。

つまり、月商50万円のサロンであれば、水道光熱費、シャンプーやフォトブースなどの原価は5万円程度。 残りの45万円が「粗利」として手元に残る計算です。

ここから家賃や光熱費などの固定費を引いたものが利益(=年収)になります。

この固定費の部分が、地方と都心で大きく変わるんです。

地方のトリミングサロンの利益を計算してみる

まず、地方で開業した場合のシミュレーションです。

私の1店舗目は和歌山県で、家賃4万円のテナントでした。当時の単価は7,000円くらいでしたが、最近は地方でも8,000円前後が相場になってきているので、ここでは単価8,000円で計算してみます。

単価8,000円、1日3頭、月22日営業

月商:8,000円 × 3頭 × 22日 = 52.8万円

経費の内訳: 家賃:4万円 水道光熱費:2万円 消耗品(シャンプー・フォトブース等):2万円 雑費(通信費・会計ソフト・洗剤等):3万円 経費合計:11万円

月の利益:52.8万 − 11万 = 41.8万円 年収:41.8万 × 12ヶ月 = 約501万円

原価率は消耗品2万円 ÷ 売上52.8万円 = 約3.8%。 固定費を含めた経費率は11万円 ÷ 52.8万円 = 約21%。

つまり、売上の約79%が手元に残る計算です。

地方のメリットは、家賃が安いぶん経費率が低くなること。 売上の絶対額は都心より小さくても、利益率が高いので手取りはしっかり残ります。

都心のトリミングサロンの利益を計算してみる

次に、都心で開業した場合。

私の2店舗目は東京世田谷区で、プードルカットの単価は1.4万〜1.5万円です。 ここでは一般的な都心サロンとして、単価9,000円で計算してみます。

単価9,000円、1日3頭、月22日営業

月商:9,000円 × 3頭 × 22日 = 59.4万円

経費の内訳: 家賃:20万円 水道光熱費:3万円 消耗品(シャンプー・フォトブース等):2万円 雑費(通信費・会計ソフト・洗剤等):3万円 経費合計:28万円

月の利益:59.4万 − 28万 = 31.4万円 年収:31.4万 × 12ヶ月 = 約377万円

経費率は28万円 ÷ 59.4万円 = 約47%。 手元に残るのは売上の約53%です。

売上は地方より6.6万円多いのに、利益は逆に10万円以上少ない。 家賃の差がそのまま利益を逆転させていることが分かります。

さらに、都心は立地によって家賃が30万円を超えるテナントもあります。 もし家賃が30万円だった場合、

経費合計:38万円 月の利益:59.4万 − 38万 = 21.4万円 年収:21.4万 × 12ヶ月 = 約257万円

地方の501万円の半分以下です。 これだと雇われトリマーの平均年収よりも低くなってしまいます。

1人営業で家賃30万円のテナントを借りるのは、数字で見ると相当厳しいということが分かります。

1人営業だと、地方の方が利益率は有利

ここまでの計算をまとめると、1人営業の場合はこうなります。

地方(単価8,000円・家賃4万):年収約501万円、利益率79% 都心(単価9,000円・家賃20万):年収約377万円、利益率53% 都心(単価9,000円・家賃30万):年収約257万円、利益率36%

売上だけ見ると都心の方が高いですが、利益率で見ると地方の方が圧倒的に有利です。

しかも地方の場合、生活費も都心より安いので、実際の暮らしの余裕は数字以上に大きくなります。

私の1店舗目は和歌山で家賃4万円でしたが、生活費も安かったので、生活に困ることはありませんでした。

都心の強みは「スケールしやすい」こと

じゃあ地方の方がいいのかというと、必ずしもそうではないです。

都心の強みは、人口が多いので集客のポテンシャルが大きいこと。 つまり、スタッフを雇って2人・3人体制にしたときに、売上を伸ばしやすいんです。

都心で単価9,000円、3人体制の場合:

月商:9,000円 × 9頭 × 22日 = 178.2万円 経費:家賃20万 + 光熱費4万 + 消耗品4万 + 雑費4万 = 32万円 人件費:30万 × 2名 = 60万円

月の利益:178.2万 − 32万 − 60万 = 86.2万円 年収:86.2万 × 12ヶ月 = 約1,034万円

家賃20万円でも、3人体制なら年収1,000万円を超えます。

家賃30万円のテナントでも、3人体制なら、

経費:家賃30万 + 光熱費4万 + 消耗品4万 + 雑費4万 = 42万円 月の利益:178.2万 − 42万 − 60万 = 76.2万円 年収:76.2万 × 12ヶ月 = 約914万円

1人だと年収257万円だった家賃30万のテナントが、3人体制なら年収914万円になります。 都心の高い家賃は、スケールさせることで初めて活きてくるということです。

ただし、3人体制で月に約200頭の予約を集め続けるのは相当なハードルです。 集客の仕組みがしっかりしていないと、人を雇ったのに予約が埋まらないという最悪のパターンになります。

逆に地方だと、人口が少ないぶん商圏の天井が見えやすいので、3人体制で毎月200頭を集め続けるのは都心以上に難しいかもしれません。

→ トリマー1人で月商120万円を達成しました https://trimal.jp/archives/1557

トリミングサロンの毎月の経費、実際いくらかかる?

利益率の話をすると「じゃあ実際に毎月いくら出ていくの?」と気になると思うので、もう少し細かく経費の内訳を出してみます。

以下は1人営業の場合の毎月の経費です。地方と都心で並べてみます。

【地方(1人営業・月商52.8万円の場合)】 家賃:6万〜8万円 水道光熱費:1.5万〜2.5万円 シャンプー・リンス等:1万〜1.5万円 フォトブース:3,000〜5,000円 タオルリース or 洗濯代:3,000〜5,000円 通信費(Wi-Fi・電話):5,000〜8,000円 会計ソフト(freee等):1,000〜2,000円 雑費(ゴミ袋・洗剤等):3,000〜5,000円 経費合計:約10万〜15万円

【都心(1人営業・月商59.4万円の場合)】 家賃:20万〜30万円 水道光熱費:2万〜3万円 シャンプー・リンス等:1万〜1.5万円 フォトブース:3,000〜5,000円 タオルリース or 洗濯代:5,000〜8,000円 通信費(Wi-Fi・電話):5,000〜8,000円 会計ソフト(freee等):1,000〜2,000円 雑費(ゴミ袋・洗剤等):3,000〜5,000円 経費合計:約26万〜38万円

見て分かる通り、家賃以外の経費は地方も都心もほとんど変わりません。 シャンプー代もフォトブース代も、場所が変わっても大きくは変動しないです。

つまり、地方と都心の利益差はほぼ家賃の差です。

意外とかからないのは消耗品です。 トリミングサロンの原価は本当に低くて、シャンプーやフォトブースを合わせても月に2万円もいかないことがほとんどです。

逆に意外とかかるのは水道光熱費です。 シャンプーで大量のお湯を使うので、特にガス代は一般家庭より高くなります。 冬場はさらに上がるので、季節によって1万円近く変動することもあります。

あと、見落としがちなのが税理士費用です。 個人事業でfreeeなどの会計ソフトを使えば自分で確定申告もできますが、税理士に依頼する場合は月1万〜2万円、確定申告の時期にまとめて依頼する場合でも10万〜15万円ほどかかります。

この辺りの経費を事前に把握しておくと、利益計算の精度がかなり上がります。

結局、どちらで開業すべきなのか

地方と都心、どちらが正解かは「どんな経営をしたいか」で変わります。

1人でリスクを抑えて安定した経営をしたいなら、地方の方が利益率は高く、精神的にもラクです。

スタッフを雇って売上を大きくしていきたいなら、都心の方がスケールしやすいです。

どちらにしても、開業前にこの利益計算をやっておくことが大事です。 「なんとなく都心の方が稼げそう」で決めてしまうと、家賃に利益を食われて苦しくなるケースは本当に多いです。

家賃は売上の10分の1が理想と言われています。 この基準で考えると、1人営業で月商50万円なら家賃は5万円まで。 家賃が10万円を超えるテナントを借りるなら、最初から2人体制で月商100万円を目指す覚悟が必要です。

自己資金の考え方や開業資金の目安については、以下の記事も合わせて読んでみてください。

→ トリミングサロンを独立開業をするために大切な自己資金の考え方 https://trimal.jp/archives/429

→ 【トリミングサロン経営者が解説】独立開業平均資金は300〜800万円 https://trimal.jp/archives/59

トリミングサロンは儲かるのか?

「で、結局トリミングサロンって儲かるの?」という疑問に答えると、業種としてはかなり儲かりやすい構造を持っています。

理由はここまで書いてきた通り、原価率が圧倒的に低いからです。

他の業種と比較してみると、

飲食店:原価率30〜35%。食材を仕入れて在庫を抱えるので、売上の3分の1は原価で消えます。 美容室:原価率8〜15%。トリミングサロンと近い構造ですが、都心は家賃が高く、スタッフの給与水準もトリマーより高いケースが多いです。 小売業:原価率40〜60%。在庫リスクもあるので、利益を出すのはさらに大変です。

トリミングサロンの原価率は4〜10%程度なので、売上のほとんどが粗利として残ります。 この構造は、個人で小さくやるならかなり有利です。

ただし、「儲かる」かどうかは構造だけでは決まりません。

1日3頭の予約を毎日埋められるかどうか。 これが全てです。

予約が埋まっていれば、1人営業でも年収400万〜500万円は十分に見えます。 逆に1日平均2頭だと、年収は300万円を切ることもあります。

つまり、トリミングサロンは「仕組みさえ作れば儲かる業種」ですが、集客と単価設定を間違えると「頑張っているのに利益が残らない」状態になるリスクもあります。

→ お客様から来たくなるトリミングサロンの仕組みづくり https://trimal.jp/archives/669

トリミングサロンは潰れにくいが、油断は禁物

トリミングサロンは、他の業種に比べるとかなり潰れにくいです。

飲食店や美容室は町に何十店舗とありますが、トリミングサロンは数店舗しかないことがほとんどです。 ライバルが極端に少ないので、よほど接客態度が悪かったり技術的に問題がない限り、ある程度の売上は作れます。

ただし、潰れにくいことと安定して利益を出し続けることは別の話です。

開業したらゴールではなく、そこからがスタート。 カットの勉強はもちろん、犬に関する知識や接客、集客の仕組みまで、開業後も勉強を続けている方とそうでない方では、数年後に大きな差が出ます。

→ トリマーの年収はいくら?雇われと独立開業の収入を経営者が解説 https://trimal.jp/archives/1097

→ 開業全般の相談について詳しくはこちら https://trimal.jp/archives/1442

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