トリマーとして働きながら、いつかは自分のお店を持ちたいと考えている方は多いかと思います。
ただ、いざ独立を決意しても、何から手をつければいいのか分からず、最初の一歩で止まってしまう方が少なくありません。
私自身、27歳のときに自己資金100万円で和歌山県に1店舗目を開業し、その後、東京の世田谷区でDOG SALON FREESIAという2店舗目を立ち上げました。
経営の傍ら、Instagramではトリマーさん向けに独立開業や経営のリアルを発信していて、現在5,500人以上のトリマーさんにフォローしていただいています。
無料メルマガ(theLetter)にも1,200名以上の方に登録いただき、これまでに1,000件以上の独立開業相談を受けてきました。
決意してから実際に開業するまでの道のりは、人それぞれで本当に違います。 この記事では、相談者の方々から見えてきた「決意した直後に知っておきたいマインドセット」と「開業までに進めるべきことの順番」を解説していきます。
読み終わるころには、「次に何をすればいいか」がはっきりしているはずです。
トリマーが独立するために、最初に知っておいてほしい3つのこと
具体的なステップに入る前に、心構えとして知っておいてほしいことが3つあります。 これを知らないまま準備を進めてしまう方が本当に多くて、結果的に途中で止まってしまうケースをたくさん見てきました。
カット技術より大事なものがある
「自分のカット技術にまだ自信がないから、独立はもう少し先かな」
相談を受けていて一番多いのがこの言葉です。
気持ちはとてもよく分かります。トリマーという仕事の根本はカット技術なので、技術に自信が持てないと開業に踏み切れないのは自然なことです。
ただ、お客様がトリミングサロンに求めているものはカット技術だけではないんです。
私のホームページ作成サービスをご利用いただいた、自宅トリミングサロンを開業されたオーナー様の話をします。 その方はご自身のカット技術に不安があると仰っていました。それでも開業から3ヶ月後には、2週間待ちのトリミングサロンになりました。
なぜそんなことが可能だったのか。 答えはシンプルで、その方は犬への接し方がとても優しく、丁寧だったんです。そこを徹底的にホームページで発信しました。
お客様の中には、大切な家族である愛犬を預けるなら、技術よりも優しく丁寧に接してくれるトリマーさんを選びたいという方がたくさんいます。 カット技術以外に強みがあれば、それをきちんと発信することでお客様は集まります。
カット技術は開業してからも磨き続けることができます。 完璧になってから開業しようとすると、一生開業できないと思っていてください。
完璧を目指すと、いつまでも開業できない
これはマインドの話ですが、本当に大事なことです。
「もう少し貯金してから」「もう少し技術を磨いてから」「もう少し勉強してから」
この「もう少し」を繰り返しているうちに、5年、10年とあっという間に過ぎていきます。 相談に来られる方の中にも、開業を考え始めて10年経っているという方が珍しくありません。
私が和歌山で1店舗目を開業したのは27歳のときで、開業資金は100万円でした。 正直、当時の自分は何もかもが不十分でした。経営の知識もない、貯金も少ない、技術も発展途上。それでも開業しました。
開業してから分かったのは、「足りないもの」は開業してからも補えるということです。 むしろ、開業して初めて見えてくる課題の方が圧倒的に多いです。
完璧を目指すよりも、まずは小さく始めて、走りながら修正していく方が結果的に早くお店が成長します。
1人で抱え込まなくていい
独立開業は孤独な道だと思っている方が多いですが、実はそうでもありません。
身近に独立しているトリマーさんがいない場合でも、相談できる相手はちゃんといます。 私自身、これまで1,000件以上の独立相談を受けてきましたし、無料のLINE相談も今も続けています。
開業前の不安や疑問を1人で抱え込んでも、答えは出にくいです。 誰かに話すことで頭が整理されたり、思いもよらないアドバイスがもらえたりします。
特に、すでに独立している人に話を聞くのは効果が大きいです。 私の場合も、開業前にいろいろな経営者の方に話を聞かせてもらったことが、その後の判断にとても役立ちました。
「決意したばかりで、まだ何も決まっていない」という段階でも全く問題ないので、気になることがあれば気軽にLINEで声をかけてください。→ LINEで無料相談する
決意してから開業までにやることを順番に
ここからは実際にやることを順番に解説していきます。 このステップに沿って進めれば、迷うことなく開業まで辿り着けます。
ステップ1:どんなお店を作りたいかを言語化する
最初にやるべきは、自分がどんなお店を作りたいのかを言葉にすることです。
具体的にはこういうことを考えてみてください。
どんなお客様に来ていただきたいか どんなサービスを提供したいか お店の雰囲気はどんな感じにしたいか 単価はどのくらいにしたいか どこの地域で開業したいか どのくらいの広さでやりたいか 1人でやるか、スタッフを雇うか
最初は全部答えられなくて大丈夫です。 紙に書き出して、考えながら少しずつ埋めていけばいいです。
ここで決めたコンセプトが、この後の全てのステップの土台になります。 立地もテナントも内装も資金計画も、全部このコンセプトから逆算して決まっていきます。
「なんとなく開業したい」のままで進めると、テナント選びや資金計画でブレてしまい、結局時間ばかりかかります。
ステップ2:立地と家賃の相場をつかむ
コンセプトがぼんやり見えてきたら、開業したい地域のテナント相場を調べます。
ポイントは、理想の地域だけでなく、その周辺エリアも含めて広めに見ることです。 理想の地域でなかなか良いテナントが出なくても、隣町なら出ているということはよくあります。
私の2店舗目のDOG SALON FREESIAは駒沢公園近くで開業しましたが、ここのテナントを見つけるまでに2年かかりました。 良いテナントは突然出てきて、すぐに埋まります。だからこそ、決意した日からテナント情報をチェックし始めることをおすすめします。
家賃の目安としては、月の売上の10分の1が理想です。 売上50万円なら家賃5万円まで、売上100万円なら家賃10万円まで、という考え方です。
家賃と利益の関係について、もう少し詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
→ トリミングサロンの利益率と原価率|地方と都心で手元に残るお金はどう違う?
ステップ3:開業資金を計算する
立地が見えてきたら、次は資金計画です。
開業資金は、コンセプトと立地によって100万円から1,000万円以上まで大きく変わります。 私の1店舗目は和歌山で100万円、2店舗目は東京世田谷区で総額2,000万円弱でした。同じ人間が開業しても、やり方が変われば20倍も違うということです。
大事なのは、開業費だけでなく運転資金も含めて計算することです。 開業してすぐに売上が安定するわけではないので、軌道に乗るまでの生活費と運転資金を最低でも半年分、できれば1年分は用意しておきたいです。
開業資金の全体像については、以下の記事に詳しく書いています。
→ 【トリミングサロン経営者が解説】独立開業平均資金は300〜800万円
→ トリミングサロンを独立開業をするために大切な自己資金の考え方
自己資金だけで全てを賄う必要はなく、日本政策金融公庫からの借入を活用される方が大半です。 私自身、2店舗目は公庫から1,000万円を借入しました。借入は決して悪いものではなく、時間を買うための投資だと考えてください。
ステップ4:資格と手続きを把握する
トリミングサロンを開業するには、動物取扱責任者の資格が必須です。
認定校を卒業して半年以上の実務経験があれば取得できますが、独学の方は別途要件があります。 資格の詳細については以下の記事を参考にしてください。
→ トリミングサロンの独立開業に必要な資格「動物取扱責任者」について
それ以外にも、開業届や青色申告承認申請書の提出、税務関係の手続きなど、やることが意外と多いです。 このあたりを開業直前に慌てて進めると、テナント審査や内装工事と重なって本当に大変になります。
開業手続きの全体像については以下の記事にまとめています。
ステップ5:集客の準備を始める
意外と見落とされがちですが、集客の準備は開業してから始めるのでは遅いです。 理想は開業の半年前、遅くとも3ヶ月前から始めておくべきです。
具体的には、ホームページ、Instagram、LINE公式アカウントの3つを準備します。 この3つはトリミングサロン経営の3種の神器と言っていいくらい重要です。
ホームページは料金表を並べるだけでなく、お店のコンセプトや強みをしっかり伝える場所にしてください。 Instagramでは開業前から地域名を入れた発信を始めて、開業日にフォロワーがゼロという状態を避けましょう。
集客の仕組み作りについては、以下の記事に詳しく書いています。
決意してから開業まで、どれくらいかかるか
相談を受けてきた経験から言うと、決意してから実際に開業するまでの期間は、平均で1年から2年くらいの方が多いです。
もちろん人によって幅はあります。 半年以内に開業される方もいますし、5年以上かかる方もいます。
期間が短い方の特徴は、決意した直後から具体的な行動を始めていることです。 逆に長くかかる方は、情報収集ばかりで一歩目が踏み出せないことが多いです。
完璧な準備を待つよりも、不完全なまま動き始めて、走りながら整えていく方が結果的に早く開業できます。 これは私自身が和歌山で開業したときに、身をもって実感したことです。
トリマー独立でよくある失敗パターン3つ
最後に、相談を受けてきた中で見えてきた、独立で失敗しやすい3つのパターンをお伝えします。 事前に知っておくだけで、避けられるものばかりです。
失敗パターン1:家賃の高いテナントを借りてしまう
「立地が良いから」「内装が綺麗だから」という理由で、想定よりも高い家賃のテナントを借りてしまうパターンです。
家賃は固定費の中で最も大きく、一度借りたら簡単には変えられません。 売上が想定通りに伸びなかった場合に、家賃だけで利益が消えてしまうという最悪の事態になります。
家賃は売上の10分の1が理想という基準を、絶対に忘れないでください。
失敗パターン2:自己資金を全部開業費に使ってしまう
開業前のテンションで、内装や設備にお金をかけすぎて、運転資金が手元に残らないパターンです。
開業してから売上が安定するまでには、半年から1年ほどかかります。 その間、家賃や生活費を払い続けるための運転資金がないと、せっかく開業したのに短期間で資金ショートしてしまいます。
私の2店舗目で1,000万円の借入をしたのは、まさにこの運転資金を確保するためでした。
失敗パターン3:集客の準備をせずに開業してしまう
「開業すればお客様は来てくれるだろう」と考えて、集客の準備をせずに開業してしまうパターンです。
実際には、何の準備もせずに開業すると、最初の数ヶ月は1日1〜2頭しか予約が入らないという状況になります。 これは私が1店舗目で経験したことでもあります。
集客は開業前から始める。これだけで、開業1ヶ月目の景色が全く違ってきます。
ここで挙げた失敗は、開業前の段階で計画を一緒に整理できれば防げるものがほとんどです。 「自分の計画で大丈夫か不安」という方は、開業前のタイミングで気軽に相談してください。
独立しても、安定するまでには時間がかかる
ここまで読んで「開業する勇気が出てきた」と感じてもらえたら嬉しいですが、最後に1つだけ現実的な話をさせてください。
独立しても、すぐに稼げるようになるわけではないです。 私の1店舗目も、軌道に乗るまでに1年近くかかりました。最初の数ヶ月は本当に苦しかったです。
ただ、軌道に乗ってしまえば、雇われていた頃よりもずっと自由で、収入も増える可能性があります。 独立トリマーの年収について、もう少し詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
→ トリマーの年収はいくら?雇われと独立開業の収入を経営者が解説
1人で進めなくていい
ここまで読んで、「やっぱり1人では難しそう」と感じた方もいるかもしれません。
それで全然大丈夫です。 独立開業は1人で進めるものではないですし、相談しながら進めた方が圧倒的にスムーズです。
私自身、無料のLINE相談を続けているのも、1人で抱え込んで止まってしまう方を1人でも減らしたいからです。 「決意したばかりで何も決まっていない」という段階でも全く問題ないので、気軽に相談してください。
開業の全体像をもっと体系的に知りたい方は、以下の完全マニュアルもおすすめです。
→ 【完全マニュアル】トリミングサロン独立開業をするためにやること
まとめ|決意した日が、一番のスタート地点
トリマーが独立するために必要なのは、完璧な準備ではなく、決意してから一歩目を踏み出す勇気です。
カット技術が完璧でなくても、貯金が十分でなくても、知識が足りなくても、開業はできます。 私自身がそうでしたし、相談に来られる方の多くもそうやって開業しています。
大事なのは、決意した日から少しずつでも具体的な行動を始めることです。 コンセプトを言語化する、テナント情報をチェックする、SNSで発信を始める。どれも今日から始められることばかりです。
独立は人生を変える大きな決断ですが、決して1人で抱え込む必要はありません。 不安なことがあれば、いつでも相談してください。一緒に整理して、あなたに合ったペースで進めていきましょう。








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