トリミングカー開業は儲かる?費用・年収・デメリット・注意点を解説

トリミングカーで開業を検討している人必見!トリミングカーの理想と現実

店舗を構えずに開業できるトリミングカーは機動性が高く、初期費用も抑えやすいイメージがあるので、トリミングカーでの開業を検討している方は多いかと思います。

そこで今回は「トリミングカーって本当に儲かるのか?」という疑問を中心に、開業費用や年収、見落としがちな排水処理や用途地域の話まで、2026年時点の最新情報を交えて解説していきたいと思います。

私の場合、100万円で固定店舗のトリミングサロンを開業して、今はサロンを経営しながら100名以上のトリマーさんの独立開業をサポートしてきました。

そんな経験から、トリミングカー開業のリアルな話を書いていきますね。

この記事で分かること

  • トリミングカーの収益モデルと現実的な年収
  • 2026年最新の開業費用と販売・レンタルの選択肢
  • 排水処理や用途地域など見落とし厳禁の注意点
目次

結論:トリミングカーは儲かるけど、固定店舗ほど売上は伸ばしにくい

トリミングカーは家賃が発生しない分、利益率で見れば固定店舗より高くなりやすいビジネスモデルというイメージがあるかと思います。

ただ実際には、トリマー1人で運営することになるので売上の上限が早めに頭打ちになってしまいますし、ガソリン代や車両ローンで「家賃の代わりの固定費」が発生するので、「儲かる」を年収ベースで考えた場合は、固定店舗のトリミングサロンの方が伸ばしやすいというのが実情だったりします。

ざっくり比較するとこんな感じです。

  • 家賃はかからないけど、ガソリン代と車両ローンで実質的な固定費が発生する
  • 売上の上限では固定店舗が有利(スタッフを雇える)
  • 初期費用はモデルにもよるけど、330万〜530万円が2026年時点の相場
  • 月の固定費は地方の固定店舗よりトリミングカーの方が高くなりやすい

トリミングカーで開業する方のほとんどが「自己資金は少ないけど早く独立したい」という方だと思います。

この気持ちはすごく分かるのですが、実際に費用を詰めていくとトリミングカーの方が固定店舗より高くなってしまうケースも多いので、両方を比較して決めた方がいいかと思います。

トリミングカーの収益モデルと現実的な年収

トリミングカーは家賃がかからない代わりに、移動時間やガソリン代、駐車場代、車検代、保険料など、固定店舗にはない支出がそれなりに発生します。

月間経費の内訳

まず月間経費の内訳を整理するとこんな感じです。

  • ガソリン代:月2〜6万円(地域や走行距離で変動)
  • 駐車場代:月1〜3万円
  • 車両ローン(400万円を7年返済):月5〜6万円
  • 事業用任意保険:月1〜2万円
  • 車検積立:月1万円
  • 材料費(シャンプー・タオル等):月3〜5万円
  • 合計:月13〜23万円

意外と大きいのがガソリン代だったりします。

ガソリン代は地域・走行条件で大きく変わる

トリミングカーのガソリン代は、お客様1軒あたりの移動距離と、走る地域の走行条件でけっこう変わってきます。

FBオートの軽トラベース車両(KデリⅢ ハイテクViby)のカタログ燃費はリッター19.8km(JC08モード)となっていますが、これは機材や水タンクを積んでいない状態での参考値です。

実際のトリミングカーは給水タンク170〜200L、排水タンク145L、トリミング機材などを常時積んでいるので、満載時は+400〜500kgの追加荷重がかかります。

この荷重と走行条件で、実燃費はこんな感じで変わってきます。

走行条件実燃費の目安
カタログ値(機材なし・平地)19.8km/L
空荷・平地(日常走行)12〜15km/L
機材・水満載・平地6〜10km/L
機材満載・都市部渋滞4〜6km/L
機材満載・山道メイン3〜5km/L

3〜5km/Lというのは割と重めの条件で、トリマー仲間の話を聞いていると、山道の多い地域で営業しているトリミングカーで「リッター3kmくらい」と言っている方がいました。

通常の平坦な道を走ることが多かったり、高速を使った移動がメインだったり、信号が少ない地域で営業している場合は、もう少し燃費は伸びて6〜10km/Lくらいに収まるケースが多いと思います。

逆に都心の渋滞が多い地域だと、停止と発進を繰り返すのでリッター4〜6kmまで落ちることもあります。

お客様1軒あたりの移動距離は、地域によってだいたいこんな感じです。

  • 都心の住宅密集地:1軒あたり3〜5km
  • 郊外:1軒あたり5〜10km
  • 地方:1軒あたり10km以上になることも

1日3〜5頭を回ると、「自宅→1頭目→2頭目→3頭目→自宅」のように区間数は頭数+1になります。

2026年4月時点のガソリン価格が全国平均で約167.5円/Lなので、これらを組み合わせて試算すると、ガソリン代の中心レンジは月2〜6万円くらい、山道が多い地域や遠方のお客様が多い場合は月10万円を超えるケースもあります。

まずは1日に回せる頭数の現実

次に、1日に施術できる頭数の現実を整理しておきますね。

トリミングカーだと移動時間も発生しますし、カットは平均でも2時間くらいかかるので、1日に回せる頭数はけっこう限られてしまいます。

  • カット中心(1頭2時間):カット2〜3頭+シャンプー1頭=1日3〜4頭
  • ゆっくりめのカット(1頭2.5時間):カット3頭=1日3頭が限度
  • スピードトリミング(1頭90分):カット4頭
  • シャンプーのみの日:頑張って5頭

1日5頭というのはシャンプーのみの日の話で、カットを入れると1日4頭くらいが現実的な上限になります。

この前提で、4つのパターンで年収を試算してみます。

パターン①:開業初年度(集客が安定する前)

開業直後は集客がなかなか安定しないので、現実的にはこのくらいのペースになることが多いです。

  • カット2頭 + シャンプー1頭 = 1日3頭
  • カット単価8,000円×2頭 + シャンプー5,000円×1頭 = 日額21,000円
  • 月20日稼働 = 月売上42万円
  • 月利益 = 42万 − 経費13万 = 29万円
  • 年収換算:約350万円

パターン②:軌道に乗ってきた状態(2〜3年目以降)

固定客が増えてきて稼働が安定してくると、このくらいのレンジが現実的です。

  • カット3頭 + シャンプー1頭 = 1日4頭
  • カット単価10,000円×3頭 + シャンプー6,000円×1頭 = 日額36,000円
  • 月22日稼働 = 月売上79万円
  • 月利益 = 79万 − 経費18万 = 61万円
  • 年収換算:約730万円

パターン③:かなり頑張った場合(上限ライン)

稼働をフルに回せて単価も高く設定できた場合の上限ですが、ここは相当ハードです。

  • カット3頭 + シャンプー2頭 = 1日5頭
  • カット単価12,000円×3頭 + シャンプー7,000円×2頭 = 日額50,000円
  • 月22日稼働 = 月売上110万円
  • 月利益 = 110万 − 経費23万 = 87万円
  • 年収換算:約1,040万円

数字だけ見ると年収1000万円超えもいけるように見えるのですが、カット3頭に2時間ずつかけて6時間、シャンプー2頭で2時間、移動時間で1〜2時間と考えると、1日9〜10時間の拘束時間になってしまいます。

これを毎日続けるのはかなり体力的にきついですし、平均単価12,000円を全頭でキープするのも難しいので、この上限ラインを安定して続けるのはなかなか現実的じゃないかと思います。

パターン④:スピードトリミングで差別化する場合

技術に自信がある方だと、1頭90分でカットを仕上げるスピードトリミングで差別化するという方向性もあります。

  • カット4頭(1頭90分) = 1日4頭
  • カット単価12,000円×4頭 = 日額48,000円
  • 月22日稼働 = 月売上105.6万円
  • 月利益 = 105.6万 − 経費21万 = 84.6万円
  • 年収換算:約1,020万円

スピードトリミングだと移動時間を含めても1日7〜8時間くらいで収まるので、時間的にはパターン③よりも現実味があります。

ただ、90分でカットを仕上げるにはかなり高い技術力が必要ですし、体力的にもかなりハードになります。

とくに夏場はエアコンがきいていても車内の熱がこもりやすくて体力の消耗が激しいですし、冬場は給排水が凍結するリスクもあるので、年間を通じて安定してこのペースを続けるのはけっこう難しいかと思います。

現実的な年収レンジは350万〜730万円

上の試算をまとめると、トリミングカーでの現実的な年収レンジは350万〜730万円くらいに落ち着く方が多いかと思います。

スピードトリミングで特化できれば年収1000万円も射程に入りますが、それには技術と体力の両方が求められるので、万人におすすめできるわけではありません。

一方で固定店舗のトリミングサロンだと、トリマーを2〜3人雇える規模感になれば年間売上1500万〜2500万円も現実的なので、売上の上限では固定店舗の方が圧倒的に伸びやすいと思います。

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トリミングカーの開業費用(2026年最新相場)

最近は物価高や車両本体価格の上昇で、トリミングカーの開業費用もけっこう上がってきています。

トリミングカーは基本的にお客様のご自宅の駐車場に入れられる軽自動車ベースのコンパクトなタイプが主流なので、ここでは軽自動車ベースを前提に相場を整理していきます。

専門業者で新車を作る場合の相場

トリミングカー専門店であるFBオートの2026年時点の価格を参考にしてみると、以下のようなラインナップがあります。

  • 軽トラ対応型(BOX-Viby):ボディ+システム装備一式で税込222.8万円〜
  • 軽トラベースのワイド版(ニドラワイドViby):税込349.8万円〜

ただ注意したいのは、この価格には車両本体価格が含まれていないという点です。

軽トラの新車本体価格は110万〜180万円くらいするので、車両本体とボディ+システム装備を合計すると、2026年時点の相場はこんな感じになります。

  • スタンダード型(軽トラ対応)の新車コンプリート:330〜400万円
  • ワイド版(ニドラワイド)の新車コンプリート:460〜530万円

ワイド版は室内の作業スペースが広くなるので、トリマーの動線や機材配置に余裕が欲しい方に選ばれているようです。

これに加えて、動物取扱業の登録費用、広告宣伝費、当面の運転資金などで50〜100万円ほど見ておく必要があります。

中古トリミングカーの購入

費用を抑えたい場合は、中古のトリミングカーを購入する選択肢もあります。

カーセンサーなどで流通している中古トリミングカーの相場は200万〜350万円くらいで、装備の状態や年式によって価格が変わってきます。

ただ、中古の場合は給排水設備や発電機のメンテナンス状況をしっかりチェックしないと、開業直後にトラブルが発生してしまうリスクがあるので、信頼できる業者から購入することが大事だと思います。

中古でトリミングカーを購入した場合、メーカーさんのサポートが受けられないと言う声もインスタのフォロワーさんから教えていただきました。

また、流通量がかなり少なく、購入を考えている方も多いので、定期的にチェックをしておく必要があります。

トリミングカー開業のメリット

家賃がかからない(ただし実質的な固定費は発生する)

家賃がかからないという点は、トリミングカー最大のメリットとして語られることが多いです。

地方でも月4万〜5万、都心なら月10万〜20万の家賃が発生する固定店舗と比べると、毎月の家賃負担がないのは確かに魅力的かと思います。

ただ、後述しますがトリミングカーではガソリン代と車両ローン、駐車場代で月8〜15万円くらいの固定費が発生してしまうので、「家賃がかからない=固定費がかからない」というわけではない点は押さえておきましょう。

働き方を自分でコントロールしやすい

これは見落とされがちなメリットですが、トリミングカーは働き方を自分でコントロールしやすいという特徴があります。

固定店舗だと家賃が毎月必ず発生するので、週5営業しないと収支が厳しいというケースがほとんどです。

一方でトリミングカーは、ガソリン代のように稼働した分だけかかる変動費の割合が大きいので、週3〜4営業という働き方も現実的に選べたりします。

もちろん車両ローンや駐車場代は稼働していなくても発生しますが、家賃と違って「毎日お店を開けなきゃ」というプレッシャーからは解放されやすい働き方かと思います。

たとえば子育てをしながら開業したい方だと、週3〜4営業でトリミングカーを回しつつ、空いた時間は子育てに使うという働き方ができたりします。

週5営業で車両代を払うパート勤務と比べても、単価の高い仕事を自分のペースで入れられるトリミングカーの方が、時間あたりの稼ぎは良くなることも多いかと思います。

「ゆる起業」的なスタイルで、自分のライフスタイルに合わせて働く日数をコントロールできるのは、トリミングカーならではの自由度だと思います。

商圏が広がる

店舗を構えるとお客様に来店していただく必要がありますが、トリミングカーはこちらが出向けるので商圏が広くなります。

都心の固定店舗だと半径3〜5km程度が現実的な商圏ですが、トリミングカーなら半径15〜20kmくらいの範囲でお客様を獲得することも可能です。

ただ、トリミングカーは商圏が広いので競合が増えると商圏が被ってしまうということも発生します。

開業前に事前に競合のリサーチをすることは大切です。

車そのものが宣伝になる

トリミングカーはイラストやロゴを入れてラッピングできるので、走っているだけで宣伝になります。

通勤や買い物で街中を走る時間も含めて宣伝活動になるのは、移動式サロンならではのメリットかと思います。

トリミングカー開業のデメリット

ここからは、DMコンサルで実際に相談を受けてきたトリミングカーのデメリットを書いていきます。

1日に回せる頭数に限界がある

トリミングカーはトリマー1人で運営することになるので、1日に回せる頭数が限られてしまいます。

カットは平均でも2時間かかりますし、移動時間も発生するので、現実的にはカット2〜3頭+シャンプー1頭の1日3〜4頭が標準的なペースになるかと思います。

固定店舗なら自分以外のトリマーを雇って頭数を増やせますが、トリミングカーはそれができないので、売上の上限が構造的に決まってしまうのがデメリットです。

ガソリン代と車両ローンが「実質的な家賃」になる

トリミングカーは機材や給排水タンクを常時積んでいるので、実燃費は平地の日常走行で6〜10km/L、都市部の渋滞が多い地域だと4〜6km/L、山道がメインの地域だと3〜5km/Lくらいまで落ちることもあります。

2026年4月時点のガソリン価格は全国平均で約167.5円/Lと高止まりしているので、お客様1軒あたり3〜10kmの移動で1日3〜5頭を回る想定だと月2〜6万円くらい、山道が多い地域や遠方のお客様が多い方だと月10万円超えのガソリン代がかかってきてしまうこともあります。

ここに車両ローン月5〜6万円と駐車場代月1〜3万円が加わると、トリミングカーの実質的な固定費は月8〜15万円になってきます。

地方の固定店舗の家賃が月4〜5万円くらいなので、実は地方の固定店舗よりもトリミングカーの方が月々の固定費が高い構造だったりします。

「家賃がかからない」というメリットでトリミングカーを選ぶ方は多いのですが、実際にはガソリン代と車両ローンで「移動する家賃」を毎月払っているのと同じような構造なので、この点はしっかり理解しておきましょう。

夏場と冬場の体力消耗が激しい

トリミングカーは車内という限られた空間で作業をするので、夏場と冬場の体力消耗がけっこう激しかったりします。

夏場は車内にエアコンを効かせてもドライヤーの熱風もこもってしまうので、室内のトリミングサロンと比べると体感温度は高めになります。

冬場は逆に、給水タンクや排水タンクが凍結するリスクもあって、早朝の設営がハードになってしまうこともあります。

1年を通じて安定した稼働を続けるためには、季節ごとの対策と体調管理がかなり重要になってきます。

排水の処理が想像以上に大変

トリミングカーは水道と下水道がない状態で営業するので、水を給水タンクに貯めて使って、使った排水は排水タンクに貯めて後で処理する必要があります。

排水はそのまま道路や地面に流すわけにはいかないので、自宅や拠点で下水道に流すか、専門の処理施設に持ち込む必要があります。

排水タンクの容量が小さいと1日3頭くらいで満杯になってしまって、途中で拠点に戻って排水処理をしなければいけません。

この「処理のための移動時間」が積み重なると、想像以上に1日の稼働効率が落ちてしまいます。

給水タンクの水が尽きると施術ができない

給水タンクの容量も同じような問題を抱えています。

軽自動車ベースだと給水タンクの容量も限られてしまうので、給水できる場所を訪問先の近くで確保しておかないと、移動時間と給水時間で1日がつぶれてしまうこともあります。

移動時間がそのまま売上を削る

トリミングカーは移動時間の間は売上が発生しません。

店舗なら移動時間ゼロでお客様を受け入れられるのに対して、トリミングカーは1頭ごとに15〜30分の移動時間がかかってしまいます。

この移動時間分を料金に上乗せできればいいのですが、お客様の需要に応える料金設定も必要なので、思うように値上げできないケースも多いかと思います。

駐車スペースの確保が難しい

お客様のご自宅に駐車スペースがないケースも少なくないので、トリミングカーを停められる場所をお客様側に確保してもらう必要があります。

交通量の多い道路での路上駐車は現実的に厳しいですし、コインパーキングを使うと費用もかさんでしまいます。

トリミングカーが軽自動車ベースになっているのも、お客様のご自宅の駐車場に入れられるサイズにする必要があるからだったりします。

音のクレームが出やすい

トリミング中にわんちゃんが吠えたり、発電機やアイドリングの音で近隣からクレームが入ることもあります。

住宅街で営業する場合はとくに、音対策をしっかりしておかないと営業停止につながってしまうこともあるので要注意です。

車検・保険などの車両コスト

車なので車検代が2年ごとにかかりますし、任意保険も事業用の保険に入る必要があります。

軽自動車でも年間20万〜30万円の車両維持費はかかると思っておいた方がいいかと思います。

ペットホテルや一時預かりができない

トリミングカーではお預かりサービスや一時預かりは導入できません。

固定店舗ならトリミングと合わせてお預かりで売上を積み上げられますが、トリミングカーはトリミングの売上だけになってしまうので、売上を積み上げにくい構造です。

大型犬の施術は現実的に厳しい

軽自動車ベースのトリミングカーだと、車内のスペースや天井の高さに限界があるので、大型犬の施術は現実的にけっこう厳しかったりします。

取り扱える犬種は小型犬〜中型犬が中心になるので、ターゲット層もそこに絞る必要があります。

トリミングカー開業前に確認すべき用途地域と市街化調整区域

トリミングカー開業で意外と見落とされがちなのが、自宅を事業所として登録する場合の用途地域や市街化調整区域の確認です。

動物取扱業の登録では、事業所の所在地を届け出る必要があります。

トリミングカーの場合、動物を固定の場所で保管するわけではないので飼養施設の登録は不要なのですが、事業所として登録する自宅の用途地域によっては問題が発生してしまうこともあります。

固定店舗より制約は少ない傾向だけど、事前確認は必須

固定店舗のトリミングサロンは、建築基準法の制約で第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域では開業できないので、けっこう用途地域の制約が厳しいです。

一方でトリミングカーの場合は、事業所が単なる受付や帳簿管理の場所であれば建物は住宅のままなので、固定店舗と比べると用途地域の制約は少ない傾向にあります。

ただ、動物取扱業の登録可否は最終的に自治体の判断になりますし、住居専用地域では事業活動そのものに制限がかかるケースもあるので、「トリミングカーだから用途地域は関係ない」と思い込むのは危険です。

必ず事前に自治体の都市計画課、建築指導課、動物愛護担当に事業内容を説明して、登録可能かを確認するようにしましょう。

また、自宅のガレージにトリミングカーを常駐させて犬を一時的に降ろしたり、施術の前後に待機させたりすると、飼養施設と判断されてしまうリスクがあります。

市街化調整区域は特にハードルが高い

市街化調整区域は、都市計画法で市街化を抑制すると定められた区域です。

既存の自宅を事業所として使うだけなら建築行為は発生しないので理論上は可能なケースもあるのですが、看板を設置したり駐車場を整備したりすると、開発行為と判断されてしまうことがあります。

自宅トリミングサロンが市街化調整区域で開業できないのと同じ理由で、トリミングカーでも事前確認は必須です。

市街化調整区域については以下の記事で詳しく解説しています。

>>自宅トリミングサロンが開業できなくなる!?「市街化調整区域」の確認は絶対にすべき理由

動物取扱業は事業所登録と営業時間の届出が必要

トリミングカーでも第一種動物取扱業(保管業)の登録が必須なのですが、このとき事業所の所在地、つまり拠点となる場所を登録することになります。

トリミングカーの場合はほとんどの方が自宅を事業所として届け出る形になるかと思います。

「週3〜4営業くらいで副業的にやりたい」という方でも、業としてわんちゃんを扱う以上は登録が必要なので、稼働日数が少ないから登録しなくていいというわけではありません。

また、登録の際には営業日と営業時間も届け出ることになるので、トリミングカーで自由な働き方をしたい方は、最初から営業日・営業時間をある程度決めたうえで申請しておくのがおすすめです。

あとから営業日や営業時間を変更する場合は、変更届の提出が必要になるので、こまめに変える前提ならちょっと手間がかかってしまいます。

開業前の確認手順

用途地域と市街化調整区域の確認は、以下の順番で進めるのがおすすめです。

  1. 開業予定地の用途地域と市街化区域/調整区域を都市計画図で確認
  2. 自治体の都市計画課・建築指導課・動物愛護担当に事業内容を説明して、事業所として登録可能か確認
  3. 確認の記録(担当者名・日時)を残しておく
  4. その後に動物愛護相談センターへ登録申請する

トリミングカーと固定店舗の比較表

項目トリミングカー固定店舗
初期費用330〜530万円300〜600万円
家賃駐車場代のみ月6〜20万円
月間経費(家賃含む)13〜23万円地方:10〜15万/都心:20〜30万
1日の頭数目安3〜5頭3〜5頭×トリマー数
スタッフ増員不可
年収の目安350〜730万円500〜1500万円超も
商圏半径10〜20km半径3〜5km
ペットホテル不可
対応できる犬種小型〜中型中心大型犬も可
用途地域の制約少なめ(要確認)大きい
排水処理自分で処理下水に直接
移動時間ありなし

表を見てもらうと分かる通り、トリミングカーは家賃がかからないものの、ガソリン代と車両ローンで月間経費が13〜23万円になるので、実質的な固定費は地方の固定店舗と同じか高めで、都心の固定店舗と近い水準になります。

総合的に見ると、初期費用を抑えたいなら小規模な固定店舗、機動性と広い商圏を優先するならトリミングカー、という判断になるかと思います。

「初期費用を抑えるためにトリミングカー」「家賃がかからないからトリミングカー」という選び方は、2026年時点の相場だとあまり当てはまらないので、少し考え直した方がいいかもしれません。

出張トリマー(訪問型)との違い

トリミングカー以外にも「出張トリミング」という選択肢があります。

これは車をトリミング仕様に改造せずに、お客様のご自宅の風呂場やお部屋の一角を借りてトリミングをするスタイルです。

出張トリミングなら車両のカスタマイズ費用がかからないので、既存の車があれば初期費用を10万〜30万円くらいまで抑えられます。

ただ、お客様のご自宅の水回りを借りる前提になるので、潜在的な顧客数はトリミングカーより少なくなってしまうかと思います。

また、自宅に他人を招くという心理的なハードルもあり、トリミングサロン、トリミングカー、出張トリミングの3つの中で一番集客が難しいのが出張トリミングだったりします。

出張トリミングのメリット・デメリットは以下の記事で詳しく書いています。

>>出張トリミングサロンのメリット・デメリットと開業方法について

儲かるトリミングカー経営にするためのコツ

単価を店舗より高めに設定する

移動時間分のコストを回収するために、店舗のトリミングサロンより10〜20%高めの料金設定がおすすめです。

出張費用を分けたり、出張料金込みなどの選択が取れますが、出張費用を分けるほうが時間に対するコストが吸収できるものの、新規のお客様視点だと料金が不確定で少し不安に感じてしまう方もいらっしゃいます。

この辺りはオーナーさんの考え方次第で料金設定は変わってきますが、出張費用は個人的には分けたほうがいいかとは思っています。

商圏を狭く深く掘る

トリミングカーの商圏は広いですが、移動時間やガソリン代を考えると「半径5km以内に固定客を集める」方が利益効率は高いかと思います。

ガソリン代が月10万円を超えてくるとけっこうな負担になるので、遠方のお客様を増やすよりも、近隣の固定客を増やす方向で集客戦略を組んでいくのがおすすめです。

Googleビジネスプロフィールで地図検索から集客する

トリミングカーのように出向いていくサービスだと、お客様が「自宅の近くに来てくれるサロン」を地図で探すことが多いので、Googleビジネスプロフィール(GBP)への登録はかなり効いてきます。

「近くのトリミングカー」や「○○市 出張トリミング」のようなローカル検索で見つけてもらえるかどうかは、集客のベースになる部分だったりします。

しかも、トリミングカーの場合は店舗型と違って、自宅の住所を非公開にしたうえで「サービス提供地域」だけを設定できるので、プライバシー面でも安心して登録できます。

GBPの登録手順や自宅での開業で気をつけるポイントは、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

>>トリミングサロンをGoogleマップに載せる方法【Googleビジネスプロフィール登録ガイド】

ホームページを作って集客する

車そのものが宣伝になるとはいえ、今の時代はネットで検索して選ぶ飼い主様がほとんどです。

トリミングカーでもホームページを作ることで、効率よく集客できるようになるので、開業と同時にホームページの準備もしておくといいかと思います。

実際に、私がホームページ作成をサポートさせていただいたトリミングカーのオーナーさんの中には、大都市圏だけでなく地方でも予約停止になるくらい集客できているサロンさんも増えてきています。

トリミングカーはお客様のお手元にサロンを運ぶサービスなので、信頼感を与えるホームページがあるかどうかで、問い合わせの数がかなり変わってきたりします。

とくにトリミングカーの場合は、Googleビジネスプロフィールでの地図表示とホームページでの信頼構築がセットで効きやすいので、集客設計から相談したい方は、ホームページ作成と合わせてサポートさせていただいています。

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トリミングカー開業でよくある失敗パターン

DMコンサルでよく聞く失敗パターンを2つ紹介します。

トリミングカーを買ったものの廃業や店舗転換

400万円前後かけてトリミングカーを作ったのに、移動時間の負担と売上上限の低さに耐えきれず、1〜2年で店舗型に切り替えたケースです。

トリミングカーに投資した400万円があれば固定店舗で十分開業できたのに、と後悔してしまう方も少なくありません。

排水タンクの容量不足で1日の頭数が減る

小さめの排水タンクを選んだ結果、1日3頭で満杯になってしまって、途中で拠点に戻って排水処理をする時間が発生してしまったケースです。

結果的に1日4頭の予定が3頭しか回せなくなって、売上が月20万円減ってしまいました。

自己資金で200万円ほどあるなら政策金融公庫での借入も検討する

自己資金のみで開業を目指すという方が、トリミングカーでの開業を目指しているケースは多いようです。

ただ、2026年の相場だとトリミングカーの新車コンプリートで330〜530万円かかってしまうので、自己資金だけで開業するのはけっこうハードルが高かったりします。

政策金融公庫の借入は今までの実績や経験があり、それなりに数字的な根拠を説明できれば借入のハードルはそこまで高くないと感じています。

以下の記事で政策金融公庫について詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

>>トリミングサロン新規開業は政策金融公庫で新規創業の借入をするのがオススメな理由

店舗が目標なら回り道せず最初から店舗開業がおすすめ

DMの開業相談を受けていると、「トリミングカーで先に開業して、リピーターを作ってから店舗に移行したい」という相談を受けることがあります。

自己資金がまったくない方が独立への一段階としてトリミングカーを活用するのはアリだと思うのですが、最終的な目標が店舗経営なら、回り道せずに最初から店舗開業を目指した方がいいかと思います。

理由は大きく2つあります。

時間がもったいない

トリミングカーで数年経営してから店舗に移行するとなると、店舗型の経営ノウハウが蓄積していく時間が遅れてしまいます。

店舗経営にはトリミングカーとは違う集客の考え方や運営スキルが必要だったりするので、店舗を早く立ち上げた方が経験値も早く貯まっていきます。

トータルで見ると、最初から店舗を目指した方が結果的に早く安定した経営ができるようになるケースが多いかと思います。

トリミングカーと店舗ではユーザー層が若干違う

これがけっこう重要なのですが、トリミングカーと店舗では集まるお客様の層が微妙に違ったりします。

トリミングカーを選ぶお客様は、「自宅に来てほしい」「通うのが面倒」「高齢のわんちゃんで移動の負担を減らしたい」といった訪問型のメリットを求める層が中心です。

一方で店舗のお客様は、「お店の雰囲気が好き」「通える距離にある」「設備が充実している」といった来店型のメリットを重視する層だったりします。

つまり、トリミングカーでリピーターを作れたとしても、そのお客様がそのまま店舗に移行してくれるとは限りません。

「トリミングカーのリピーターをそのまま店舗に連れていく」というプランは一見効率が良さそうに見えるのですが、実際には店舗として新しいお客様を一から集客し直すことになるケースも少なくありません。

店舗経営を最終目標にしているなら、準備期間と政策金融公庫での借入を組み合わせて、最初から店舗開業を目指した方が結果的に早いかと思います。

トリミングカー開業でよくある質問

トリミングカーの2026年最新の価格相場はどれくらい?

軽トラ対応のスタンダード型で新車コンプリート330〜400万円、ワイド版で460〜530万円が2026年時点の相場です。中古ベースで購入する場合は200万〜350万円くらいまで抑えられます。

トリミングカーの燃費とガソリン代はどれくらい?

機材や給排水タンクを常時積んでいるので、実燃費は平地の日常走行で6〜10km/L、都市部の渋滞が多い地域だと4〜6km/L、山道メインだと3〜5km/Lまで落ちます。2026年4月時点のガソリン価格約167.5円/Lで計算すると、1軒あたり3〜10kmの移動で1日3〜5頭を回る想定で月2〜6万円、山道が多い地域や遠方のお客様が多いと月10万円超えになることもあります。

トリミングカーは本当に家賃がかからないの?

店舗のような家賃は発生しませんが、ガソリン代月2〜6万円、車両ローン月5〜6万円、駐車場代月1〜3万円で合計月8〜15万円くらいの固定費が発生します。これは地方の固定店舗の家賃よりも高い水準なので、実質的には「移動する家賃」を毎月払っているのと同じような構造だと思っておいた方がいいです。

トリミングカーで1日何頭くらい施術できますか?

カット中心の日はカット2〜3頭+シャンプー1頭で1日3〜4頭が現実的な上限です。スピードトリミングでカットを1頭90分で仕上げられる方なら1日カット4頭までいけます。シャンプーのみの日なら頑張って5頭までいける感じですが、移動時間を考えるとなかなかハードです。

トリミングカーで年収1000万円は現実的ですか?

正直なところ、1000万円超えはかなり難しいです。スピードトリミングで1頭90分×4頭×月22日×単価12,000円で計算すると年収1000万円ちょうどくらいまで届きますが、技術と体力の両方が必要ですし、夏場や冬場の体力消耗、ガソリン代の負担を考えると年間を通じて安定して続けるのは現実的じゃないです。現実的には年収350万〜730万円のレンジに落ち着く方が多いかと思います。

トリミングカーは中古で買っても大丈夫ですか?

給排水設備と発電機のメンテナンス状況がしっかりしていれば中古でも問題ないと思います。ただ、営業開始後にトラブルが発生すると売上に直撃してしまうので、信頼できる業者から購入するのがおすすめです。中古での購入はメーカーサポート対象外になることが多いようです。

トリミングカーで大型犬も対応できますか?

トリミングカーは基本的に軽自動車ベースのコンパクトなタイプが主流なので、大型犬の施術は現実的に厳しいかと思います。車内のスペースや天井の高さに限界があるので、小型犬〜中型犬がメインターゲットになります。

トリミングカーでも動物取扱業の登録は必要ですか?

はい、トリミングカーでも第一種動物取扱業(保管業)の登録が必要です。事業所の所在地を管轄する都道府県または指定都市で登録します。

トリミングカーの排水はどう処理するのが正しいですか?

自宅や拠点に戻ってから下水道に流すのが一般的です。道路や地面に直接流すのは条例違反になってしまう可能性があるので、排水タンクを必ず使うようにしましょう。

まとめ:トリミングカー開業前にやるべきこと

トリミングカーは家賃がかからなくて機動性が高い魅力的なビジネスモデルですが、2026年時点だと新車で330〜530万円の初期費用に加えて、ガソリン代と車両ローンで月8〜15万円の実質固定費がかかってしまうので、固定店舗と比較してじっくり検討する価値があると思います。

開業前にやるべきことは以下の通りです。

  1. 開業予定地の用途地域や市街化調整区域を確認する
  2. 自治体の都市計画課・建築指導課・動物愛護担当に事業所登録の可否を確認する
  3. 固定店舗と費用・収益性を比較検討する
  4. 排水処理と給水の拠点を事前に確保する
  5. 動物愛護相談センターに登録申請する

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