社会人になってからトリマーを目指したい──そう思っても、「今さら遅いのか」「仕事を辞めなければいけないのか」「費用はどのくらいかかるのか」と、具体的に動き出せない方は少なくありません。
Trimalではこれまで1,000件以上のトリマー独立開業相談を受けてきましたが、「社会人からトリマーになりたい」という相談は今も一定数届き続けています。
この記事では、社会人・大学生がトリマーを目指す7つのルートを費用・期間・在職可否で比較し、将来的な独立開業も見据えたルート選びの考え方まで解説します。
社会人・大学生がトリマーを目指すとき、最初に整理すること
「トリマーになりたい」と思った瞬間、多くの社会人・大学生が抱える不安は共通しています。
- 今の仕事を辞めなければいけないのか
- 費用はいくらかかるのか
- 年齢的に遅くはないのか
- 専門学校に行けば本当になれるのか
これらは全て正当な疑問で、正直に答えるとこうなります。
仕事を辞める必要があるかどうかは、選ぶルートによって変わります。 夜間専門学校や土日のトリミング塾、通信講座であれば在職のまま学べます。一方、昼間部の専門学校や短期集中の塾は基本的に離職が前提です。
費用は数万円から250万円超まで幅があります。 どのルートを選ぶかで桁が変わります。
年齢制限は実質ありません。 ただし、就職先が限られる、開業まで時間がかかるというリアルはあります。40代から専門学校に通って開業した方もTrimalのサポート先にはいますが、それは一般的ではありません。
そして最も重要なのは、ルートを選ぶ前に「自分は最終的に何をしたいのか」を明確にしておくことです。
- ペットサロンのスタッフとして働きたいのか
- いつかは独立開業したいのか
この2つでは、最適なルートが変わります。この記事では特に「いつか独立も視野に入れている」方のために、開業まで見据えたルート選びの考え方も後半でお伝えします。
7つのルートを比較する
社会人・大学生がトリマーを目指すルートは大きく7つあります。
| ルート | 在職のまま可否 | 費用の目安 | 期間の目安 | JKC資格取得 |
|---|---|---|---|---|
| ① 夜間トリマー専門学校 | △(時間帯次第) | 70〜150万円 | 2年 | ○(公認校なら) |
| ② 土日トリミング塾 | ○ | 30〜80万円 | 1〜2年 | △(塾による) |
| ③ 仕事を辞めて昼間部専門学校 | ✗(離職前提) | 100〜250万円 | 2年 | ○(公認校なら) |
| ④ 1年間短期集中トリミング塾 | ✗(離職前提) | 50〜100万円 | 1年 | △(塾による) |
| ⑤ 未経験OKのトリミングサロンで働く | ✗(転職) | ほぼ0(給与あり) | 2〜4年 | △(職場次第) |
| ⑥ ハローワーク求職者支援訓練 | ✗(離職者対象) | ほぼ0(テキスト代程度) | 3〜6ヶ月 | △(地域・コースによる) |
| ⑦ 通信講座 | ○ | 数万円〜20万円程度 | 数ヶ月〜1年 | △(講座による) |
社会人からトリマーになるのに資格は必要?
結論から言うと、トリマーになるために国家資格は必要ありません。
美容師のように資格がなければ働けない職業ではないため、資格を持っていなくてもトリマーとして就職することは可能です。
実際の現場では、
- 犬を安全に扱えるか
- 飼い主さんとコミュニケーションが取れるか
- 安定した仕上がりができるか
といった技術や人柄の方が重視されることが多いです。
もちろん、JKC公認トリマー資格などの民間資格を取得することで、就職時のアピールや開業後の信頼につながることはあります。
しかし、資格を取得したからといって一人前のトリマーになれるわけではありません。
私自身、これまで1,000件以上のトリマーさんやサロンオーナーさんの相談を受けてきましたが、資格よりも技術力やお客様対応で評価されている方が圧倒的に多いと感じています。
そのため、「資格がないからトリマーになれない」と考える必要はありません。
各ルートの詳細
ルート①:夜間トリマー専門学校
夜間に授業があるトリマー専門学校であれば、仕事が終わってから通えます。授業の開始時間は18〜19時が多く、21時頃まで実技・座学を行うスケジュールが一般的です。
向いている人
- 仕事を続けながら費用を稼ぎつつ学びたい人
- 給料を確保しながら確実にトリマーを目指したい人
注意点 仕事の終わる時間が18時以降になる職種・業態の場合、毎回間に合わないケースが出てきます。仕事の融通が利くかどうかを先に確認する必要があります。また、平日の夜間通学と仕事の両立は体力的にかなりハードです。2年間続けられる体力・意志力があるかどうかも現実的に考えてください。
費用は入学金・授業料合計で70〜150万円程度が目安ですが、学校によって大きく異なります。
JKC公認校については後の章で詳しく説明します。
ルート②:土日に通えるトリミング塾
平日は仕事をしながら、土日をトリミングの勉強に充てるスタイルです。1日みっちり実技を中心に学べるため、限られた時間で効率よく技術を身につけられます。
向いている人
- 土日休みの会社員で、しばらく休みを技術習得に費やせる人
- 費用をなるべく抑えながら学びたい人
注意点 土日がほぼ休みなく塾に通うことになるため、体力的・精神的な消耗は想像以上に大きいです。数ヶ月〜1年以上継続できるかどうかが成否を分けます。また、夜間専門学校や昼間の専門学校と比べると、習得できる知識の幅が限られる場合があります(カット技術中心で、病気・動物行動の知識が薄くなりやすい)。
費用は30〜80万円程度と、専門学校より安価な選択肢です。
ルート③:仕事を辞めて昼間部の専門学校に入学
「絶対にトリマーになる」という強い意志がある方には、仕事を辞めて昼間部の専門学校に入学するルートがあります。
向いている人
- 将来的に独立・開業を明確に視野に入れている人
- 最もしっかりとした知識・技術の基礎を身につけたい人
- 貯金またはローンで費用を賄える人
注意点 収入がなくなる期間が2年間発生します。入学金・授業料だけで100〜250万円、生活費を加えると総コストはかなり大きくなります。入学前にある程度の貯金(目安として最低200〜300万円)が必要です。
一方で、カリキュラムが充実しており、同じ志を持つ仲間との環境が作りやすく、JKC公認校であれば業界で通用する資格取得への道もひらけます。
Trimalでサポートしてきた方の中で、独立開業した方の多くはこの「昼間部専門学校卒業→就職→経験を積んで開業」というルートを通っています。
専門学校の選び方については → トリマー専門学校の正しい選び方
ルート④:1年間短期集中のトリミング塾
仕事を辞めて、1年間だけ集中してトリミングの技術を身につけるルートです。専門学校の2年制と比較すると期間が短い分、カット技術に絞った実践的なカリキュラムになります。
向いている人
- 2年間の学費・生活費を用意するのが難しいが、短期なら踏み切れる人
- 知識よりも技術の習得をまず優先したい人
注意点 1年間の短期集中でも、トリマーとして活躍している方はいます。ただし、専門学校と比べると習得できる知識(動物の疾病・行動・美容全般)は限定的になりやすいです。開業後に「知識が追いつかない」と感じるケースも聞いてきました。
費用は50〜100万円程度。離職期間中の生活費もあわせて準備しておく必要があります。
ルート⑤:未経験OKのトリミングサロンで働く
最も手軽にトリマーへ踏み出せる方法が、未経験からでも採用してくれるトリミングサロンで働くことです。学費を払うのではなく、給料をもらいながら技術を身につけられます。
向いている人
- 費用をかけずにまずトリマーの現場を体験したい人
- 学校に通う時間が取れない状況にある人
注意点 以前は未経験OKのサロンはかなり少ない印象でしたが、最近はトリマー不足の影響もあり、以前より未経験OKの求人を見かける機会が増えているように感じます。もちろん地域差はありますが、専門学校卒業者のみを募集するサロンだけではなく、未経験から育成する前提で採用しているサロンもあります。
ただし、未経験OKと書かれていても教育体制には大きな差があります。応募する際は、
- 未経験者の育成実績があるか
- カットデビューまでの流れが明確か
- 教えてくれる先輩や責任者がいるか
を確認しておくことをおすすめします。また、教育体制が整っていないサロンで働くと、技術の習得スピードが遅くなるケースがあります。一人前になるまで3〜4年以上かかることも珍しくありません。
詳しくは → 独学でトリマーになる方法
ルート⑥:ハローワークの求職者支援訓練
ハローワーク(公共職業安定所)が案内する求職者支援訓練(ハロートレーニング)の中に、一部地域でトリマー養成コースが設けられています。
費用と給付 受講料は原則無料(テキスト代等は実費)。さらに、一定の要件を満たす場合は月10万円の受講手当を受け取りながら学べます。
重要な条件 このルートには大きな条件があります。在職中(週の所定労働時間が20時間以上)の方は原則として対象外です。現在働いている状態のままでは利用できません。一度仕事を辞めてから、ハローワークで求職者として登録した上で申し込む流れになります。
向いている人
- 仕事を辞めてトリマーを目指す決断をした人で、費用を最小限に抑えたい人
- お住まいの地域にトリマー養成コースが存在する場合
注意点 全国どこでもトリマー養成コースがあるわけではなく、実施している地域は限られます。また、訓練期間が3〜6ヶ月と短いため、習得できる技術の深さには限りがあります。まずはお住まいの地域を管轄するハローワークに問い合わせるところから始めてください。
実際に開業した方もいます
Trimalでホームページ制作を担当したサロンオーナーさんの中には、職業訓練所でトリミングを学び、その後サロン勤務を経て独立開業された方もいます。
もちろん、職業訓練だけで一人前のトリマーになれるわけではありません。卒業後にどのサロンで経験を積むかが非常に重要になります。ただ、費用を抑えながらトリマーを目指せる方法としては十分現実的な選択肢です。専門学校に通う費用面で悩んでいる方は、一度ハローワークに相談してみる価値があると思います。
ルート⑦:通信講座で学ぶ
社会人からトリマーを目指す方法として、通信講座を検討する方も少なくありません。
通信講座のメリットは、
- 自宅で学べる
- 働きながら学べる
- 費用を抑えられる
ことです。犬種ごとの特徴やグルーミング理論、サロン業務の基礎知識などを学ぶ入口としては活用しやすい方法だと思います。
ただし、個人的には通信講座だけでトリマーを目指すことはおすすめしていません。なぜなら、トリマーは技術職だからです。
実際の現場では、
- ハサミの角度
- バリカンの入れ方
- シャンプー技術
- 爪切り
- 犬の保定方法
など、実際に犬を触りながら学ばなければ身につかない技術が数多くあります。通信講座だけでは、どうしてもその部分が不足しやすくなります。
そのため、
- 専門学校へ進学する前の予習
- トリミング塾と併用する学習
- 未経験OKサロンで働きながら知識を補う
といった補助的な使い方が現実的です。費用は比較的安いものの、将来的にトリマーとして働きたいのであれば、どこかのタイミングで実技を学べる環境に入ることをおすすめします。
詳しくは → 通信講座でもトリマーになれる?
JKC公認校を選ぶことの意味
ルート①③を選ぶ場合、専門学校選びで必ず確認してほしいのが「JKC公認校かどうか」です。
JKC(ジャパンケネルクラブ)が認定しているトリマー専門学校では、JKC公認のトリマー資格(C級→B級→A級)を取得することができます。トリマーには法律上の必須資格はありませんが、JKC公認資格は業界内で広く認知された民間資格であり、就職・開業後のブランディングにも影響します。
正直にお伝えすると、私自身が通ったトリマー専門学校はJKC公認校ではありませんでした。当時はJKC公認校かどうかを意識せずに学校を選んでしまいましたが、今の立場から見ると、もし通える範囲にJKC公認校があるなら、迷わずそちらを選んでほしいと思います。
公認校かどうかの確認方法はシンプルで、JKCのウェブサイトに公認学校の一覧が掲載されています。入学を検討している学校が一覧に入っているかどうか、まず確認してください。
専門学校の選び方の詳細は → トリマー専門学校の正しい選び方
1,000件の相談から見えたリアル:開業まで至る人の割合
Trimalでは1,000件以上のトリマー独立開業相談を受けてきました。
社会人からトリマーになった方自体は決して珍しくありません。実際に専門学校へ通った方、未経験OKサロンへ就職した方、職業訓練所からトリマーになった方など、多くの方がトリマーとして活躍されています。
一方で、
- トリマーになる
- 現場経験を積む
- 開業資金を準備する
- 独立開業する
- Trimalでホームページ制作を依頼する
というところまで進んだ方で考えると、体感として2〜3%程度です。
これは「社会人からトリマーになれない」という意味ではありません。実際にはトリマーとして就職し、活躍している方はもっと多くいます。
ただ、独立開業まで進むには時間も資金も必要です。トリマー専門学校に通い、就職して経験を積み、開業資金を貯めて独立するまでを考えると、最短でも5〜7年程度はかかるケースが多いです。
そのため、最初の段階で
- トリマーとして働きたいのか
- 将来的に独立開業したいのか
を整理しておくことが重要になります。
独立・開業を見据えたルート選びの考え方
将来的にトリミングサロンを開業したいと思っている方には、ルート選びの段階から「開業への最短ルート」を意識することをおすすめします。
「専門学校 → 就職先の選び方」がキャリアを決める
開業を見据えた場合、専門学校の選び方と同じくらい重要なのが、卒業後の就職先の選び方です。
開業を最終目標にする場合、就職先に求めるのは「給料の高さ」よりも「経営・集客の仕組みを学べる環境かどうか」です。トリミング技術はどこでも磨けますが、「どうやってお客様を集めるか」「予約管理・料金設定・接客の設計」といった経営的な視点は、意識的に学べる環境でないと身につきません。
開業資金の準備は就職と同時に始める
トリミングサロンの開業には、一般的に200〜800万円程度の資金が必要です。就職してから初めて「いつか貯めよう」と考えると、開業までの時間がさらに延びます。就職した段階から「○年後に開業する」という目標を持ち、毎月の貯蓄計画を立てることが重要です。
独立開業の全体像については → トリミングサロン独立開業の完全マニュアル 開業後のトリマーの年収については → トリマーの年収はいくら?
開業を見据えた準備について、LINEでも個別に相談を受け付けています。「まだ学校も決まっていない段階」でも構いません。開業に関する情報に早い段階から触れておくことで、学校選び・就職先選び・資金計画のどの段階でも判断がしやすくなります。
まとめ:社会人・大学生からトリマーになるには
社会人・大学生からトリマーを目指す方法は1つではなく、自分の状況・目標・費用によって最適なルートが変わります。
今の仕事を続けながらトリマーを目指したい場合 → ルート①(夜間専門学校)・②(土日トリミング塾)・⑦(通信講座)が選択肢。通信講座は補助的な位置づけで、実技は別途必要です。
費用を抑えてトリマーを目指したい場合 → ルート⑤(未経験OKサロン)が費用ゼロで技術を身につけられる唯一のルート。ルート⑥(ハローワーク訓練)も離職後であれば費用をほぼかけずに学べます。
将来的に独立・開業を視野に入れている場合 → ルート③(昼間部専門学校)+JKC公認校の選択が、遠回りに見えて一番の近道。
仕事を辞める決断ができて、費用を最小化したい場合 → ルート⑥(ハローワーク求職者支援訓練)を地域のハローワークに問い合わせてみる価値あり。
社会人からトリマーを目指すハードルは確かに低くありません。でもTrimalでサポートしてきた方の中には、社会人経験を活かして開業後に早い段階で軌道に乗せた方もいます。どのルートを選ぶかより、選んだルートを最後までやり切ることの方が重要です。
トリマーになった後の独立開業については、以下の記事に詳しくまとめています。







