自宅トリミングサロンの開業を検討されている方は多いかと思います。
しかし、自宅トリミングサロンはどこでも自由に開業できるわけではありません。
特に注意したいのが「市街化調整区域」と「用途地域」です。
自分の家だから大丈夫だと思っていても、地域や建物の条件によっては、自宅の一部をトリミングサロンとして使うことが難しい場合があります。
また、市街化調整区域でなかったとしても、用途地域によって店舗の広さや業種に制限がかかるケースもあります。
土地を購入した後や、内装工事をした後に「この場所では開業できない」と分かってしまうと、リカバリーがかなり難しくなります。
この記事では、自宅トリミングサロンを開業する前に確認しておきたい、市街化調整区域・用途地域・動物取扱業の注意点について解説していきます。
市街化調整区域とは
市街化調整区域とは、ざっくり言うと「市街化を抑制するために指定された区域」のことです。
住宅地や商業施設をどんどん増やすのではなく、農地や山林などを守る目的で指定されている地域になります。
田んぼや畑、山林などが多い地域に指定されていることも多く、土地の価格が比較的安いという特徴があります。
そのため、
「土地が安いから、ここに自宅を建ててトリミングサロンも併設したい」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、市街化調整区域に該当する場合、新しく建物を建てたり、既存の建物の使い方を変えたりすることに制限がかかります。
自宅の一部をトリミングサロンとして使う場合も、住宅とは違う「店舗」としての利用が問題になることがあります。
そのため、市街化調整区域では、自宅トリミングサロンの開業がかなり難しくなる可能性があります。
自宅開業を考えている方は、まず開業予定の土地や建物が市街化調整区域に該当していないかを必ず確認しておきましょう。
市街化調整区域でトリミングサロン開業が難しい理由
市街化調整区域では、新しく建物を建てたり、既存の建物の用途を変更したりすることに対して、厳しい制限があります。
トリミングサロンとして自宅の一部を使う場合、建物の用途や使い方が問題になることがあります。
たとえば、もともと住宅として建てられた建物の一部を店舗として使う場合、自治体によっては用途変更や開発許可などの確認が必要になる可能性があります。
市街化調整区域では、そもそも新たな店舗利用が認められにくいケースも多いため、個人の自宅トリミングサロンとして開業するにはハードルが高くなります。
もちろん、地域や建物の状況によって例外的に認められるケースがまったくないわけではありません。
ただし、開発許可や用途変更の判断は自治体ごとに異なりますし、許可を取るために時間や費用がかかることもあります。
個人で小さく自宅トリミングサロンを開業したい場合は、最初から市街化調整区域を避けた方が現実的なケースが多いです。
開業前に必ず確認したい3つのこと
自宅トリミングサロンを開業する前に、必ず確認しておきたいことが3つあります。
- 市街化調整区域に該当していないか
- 用途地域は何か
- 動物取扱業の登録要件を満たせるか
この3つを確認せずに物件を契約したり、土地を購入したり、内装工事を進めてしまうのはかなり危険です。
順番に解説していきます。
市街化調整区域に該当していないか
まずは、開業予定の土地や建物が市街化調整区域に該当していないかを確認しましょう。
市街化調整区域かどうかは、市区町村の都市計画課などで確認できます。
自治体によっては、ホームページ上で「都市計画図」や「用途地域マップ」を公開していることもあります。
住所を入力すると、市街化区域なのか、市街化調整区域なのか、用途地域は何なのかを確認できる自治体もあります。
ただし、地図だけを見て自分で判断するのが不安な場合は、必ず役所に直接問い合わせた方が安心です。
問い合わせるときは、
「この住所で自宅トリミングサロンを開業したいと考えています。市街化調整区域に該当しますか?」
と聞けば大丈夫です。
土地を購入する前や、賃貸物件を契約する前に確認しておくことで、後から「開業できなかった」というトラブルを防ぐことができます。
用途地域は何か
市街化調整区域ではなかったとしても、それだけで安心はできません。
市街化区域の中でも、「用途地域」によって建てられる建物や営業できる業種に制限があります。
用途地域とは、住居・商業・工業など、土地の使い方を分けるために定められた地域区分のことです。
用途地域は大きく13種類に分かれていて、それぞれ建てられる建物の種類や店舗の規模にルールがあります。
自宅トリミングサロンの場合、特に注意したいのが「第一種低層住居専用地域」です。
第一種低層住居専用地域は、静かな住宅街を守るための地域です。
そのため、店舗の営業には厳しい制限がかかることがあります。
たとえば、住宅の一部を店舗として使う場合でも、店舗部分の床面積が50平方メートル以下、かつ建物全体の床面積の2分の1以下といった条件が出てくることがあります。
つまり、自宅の一室で小さくトリミングをする場合は可能性があっても、しっかり店舗スペースを作って営業する場合は難しくなることがあります。
また、第一種低層住居専用地域以外でも、用途地域によって店舗の規模や種類に制限がある場合があります。
「自宅だから大丈夫」と考えるのではなく、用途地域も必ず確認しておきましょう。
動物取扱業の登録要件を満たしているか
市街化調整区域や用途地域の問題をクリアしていても、トリミングサロンを開業するためには、動物取扱業の登録が必要になります。
トリミングサロンは、犬を預かって美容を行う業態になるため、第一種動物取扱業の「保管」に該当します。
登録をするためには、動物取扱責任者を設置する必要があります。
動物取扱責任者になるためには、実務経験・資格・学校卒業などの要件を満たす必要があります。
ただし「資格を持っていれば自動的に登録できる」というわけではなく、設備面でも満たすべき要件があります。
具体的には、ケージのサイズや数、洗い場、床材、換気、温度管理、逃走防止措置などが確認対象になります。
これらの設備要件さえ満たしていれば、自宅の一部屋を使って開業することは十分可能で、実際に1部屋でトリミングサロンを運営している方もたくさんいらっしゃいます。
「自宅で開業=大掛かりなリフォームが必要」と思っている方も多いのですが、必ずしもそうではありません。
ただし、自治体によって運用や確認のポイントが少しずつ違うことがあります。
これまで開業相談を受けた中でも、同じ「自宅の一室を使う」プランで、自治体によって追加で求められた工事の内容が違うケースもありました。
「他県で大丈夫だったから自分の地域も大丈夫」とは限らないため、必ず自分の地域の保健所・動物愛護センターに直接確認するようにしましょう。
動物取扱業や資格の詳しい要件、設備基準については、以下の記事で解説しています。https://trimal.jp/archives/16
自宅サロン以外の開業形態(テナント・トリミングカー・出張)も含めて、トリミングサロン開業の全体像を一度ざっと把握しておきたい方は、以下のマニュアル記事もあわせて読んでみてください。
市街化調整区域でも営業しているお店があるのはなぜ?
市街化調整区域なのに、トリミングサロンや飲食店などが営業しているケースを見かけることがあります。
そのため、
「あのお店が営業しているなら、自分も大丈夫なのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
ただし、これは注意が必要です。
市街化調整区域に指定される前から営業していた店舗や、既存の建物として認められているケースなど、個別の事情によって営業が続けられている場合があります。
また、地域の生活に必要な施設として、例外的に認められるケースもあります。
ただし、それが自宅トリミングサロンにも当てはまるとは限りません。
近くにお店があるからといって、自分も同じように開業できるとは考えない方が安全です。
新しく開業する場合は、今のルールで判断されるため、必ず自治体に確認しておきましょう。
確実に自宅トリミングサロンを開業したいのであれば、市街化調整区域は避ける方が無難です。
市街化調整区域や用途地域を確認する方法
開業予定の土地や建物が市街化調整区域に該当するか、用途地域は何かを確認する方法はいくつかあります。
一番確実なのは、市区町村役場の担当窓口に直接問い合わせることです。
確認先としては、主に以下のような窓口になります。
- 市街化調整区域かどうか → 市区町村の都市計画課
- 用途地域や建物の使い方 → 建築指導課・開発指導課
- 動物取扱業の登録 → 保健所・動物愛護センター
電話でも対応してくれる自治体は多いので、住所を伝えれば、市街化調整区域かどうか、用途地域は何かを教えてもらえることがあります。
最近は自治体のホームページで都市計画図を公開しているところも多く、地図上で色分けされているので確認しやすくなっています。
ただし、地図で確認できたとしても、最終的には役所と保健所に直接確認することをおすすめします。
特にトリミングサロンの場合は、建物の問題だけではなく、動物取扱業の登録も関係します。
「この場所で自宅トリミングサロンを開業したいのですが、可能でしょうか?」
と事前に問い合わせておくと、その地域でクリアすべき条件を教えてもらえるので安心です。
物件を契約する前や土地を購入する前に、必ず役所と保健所の両方に確認しておきましょう。
市街化調整区域だったときの選択肢
土地を購入した後や、使っていない家を改装して自宅トリミングサロンを開業しようとした方の中には、市街化調整区域だったことで開業が難しくなってしまった方もいます。
使っていない家であればまだ諦めがつくかもしれません。
しかし、土地を購入して、さらにトリミングができるように内装を入れた家を建ててしまった後だと、リカバリーはかなり難しくなります。
もし開業予定地が市街化調整区域だった場合、選択肢としては以下のような方法があります。
- 市街化区域内の別物件を探す
- 自宅ではなくテナントを借りて開業する
- トリミングカーや出張トリミングを検討する
- 自治体に例外的に可能性があるか確認する
- 建築士や行政書士など専門家に相談する
現実的には、自宅サロンにこだわりすぎず、テナント型やトリミングカー、出張トリミングなどに切り替えた方がスムーズな場合もあります。
ただし、トリミングカーや出張トリミングであっても、動物取扱業の登録場所や車両の保管場所、営業形態によって確認事項は変わります。
「店舗ではないから何も確認しなくていい」というわけではありません。
住んでいる場所が市街化調整区域の場合でも、開業できる可能性がまったくないわけではありませんが、必ず保健所や自治体に確認しながら進めるようにしましょう。
トリミングカーでの開業を検討される方は、以下の記事も参考にしてみてください。 https://trimal.jp/archives/978
まとめ
自宅トリミングサロンを開業する場合、市街化調整区域に該当していないか、用途地域による制限がないか、動物取扱業の登録要件を満たせるかを必ず確認しておきましょう。
特に自宅トリミングサロン前提で土地を探している方は、不動産業者だけに任せるのではなく、ご自身でも役所や保健所に確認することをおすすめします。
土地を買った後や、内装工事をした後に「ここでは開業できません」と分かってしまうと、取り返しがつかないこともあります。
自宅トリミングサロンは、家賃を抑えられるというメリットがあります。
ただし、地域や建物の条件を確認せずに進めてしまうと、開業そのものが難しくなるリスクもあります。
開業してからやり直すのは大変なので、物件を決める前の段階でしっかり調べておくことが、失敗しないための一番の近道です。
自宅トリミングサロンの開業全般について相談したい方は、以下の記事もあわせて読んでみてください。 https://trimal.jp/archives/1442
Googleビジネスプロフィールの登録方法については、以下の記事で詳しく解説しています。https://trimal.jp/archives/410








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